【65周年へワンチーム】
基礎工事を専門にする丸泰土木の社長に青木満氏が就いて、半年が経過した。青木社長は「現場でも事務所でも、ワンチームという意識を大切にしていきたい。攻める人、守る人、パスを出す人、さまざまな強みを持った人材がいる集団が一番強い」と団結力の重要性を強調し、会社の刷新に舵(かじ)を切る。来年に控える創立65周年に向け、経営方針や事業の方向性を聞いた。
--就任の抱負を
「働き方改革をはじめとする時代の要請に、経営の方向性を合わせる必要がある。歴史を重んじながらも、会社を“現代風”に変えていく。私たちの仕事は、請負契約の特性上、利益は杭を打った本数に比例する。早出出勤や残業などして『時間をかけて、沢山の仕事をする』という時代もあったが、今は、これを創意工夫で解決しなければならない。一本でも多く打つためにどうすればよいか。現場の最前線で頑張ってくれる技能者の声を拾いながら、皆で知恵を絞り、事業を発展させていきたい」
--市場環境の見通しは
「カーボンニュートラルに向けたエネルギー関係施設需要が増加傾向だ。とりわけ、アンモニアを溜める大型タンクの地盤工事などが堅調だ。一方で建設コストの上昇が気がかりだ。工事案件が先延ばしされるケースが増えており、先行きの不透明感はある。強みとする海洋土木関連の需要は、楽観視はできないものの堅調だ」
--事業拡大に向けたテーマは
「最も重要なのは、人材育成だ。われわれの仕事は、全てを機械化に置き換え、無人化することはできない。杭を打ち込む相手となるのは地面だ。外から中の状況が分からない相手に対して、1000分の1mm単位の精度が求められる。さまざまな現場経験は不可欠であり、現場は人が動かしている」
--技術伝承や育成に向けては
「組織体制を刷新したい。全ての工事を統括する工事部長の下に、各工種のベテラン層、エキスパートが就く『工事長』を新設する計画だ。専門性に富んだ人材が若手を育成する体制をつくる」
--採用状況は
「新規学卒採用は苦戦している。中途採用のプラットフォームをはじめ、アプローチのチャンネルを増やして対応している」
--自社の強みは
「昔、現場に出ていた時に、『丸泰土木は現場の全員が働いている』と客先から声をかけられたことがある。多くの人間が携わる建設現場では、上長の指示を待つ“受け身の人間”を生みかねない環境でもあるため、主体性が大切になる。先の言葉は、全員が自分の持ち場を守るという意識で現場に向き合っている証だ。社員の適材適所を見抜き、一人ひとりの個性に合った仕事を見つけ、伸ばしていく社風は当社の強みだ。人材育成にも生かしていきたい」
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(あおき・みつる)1989年3月読売東京理工専門学校土木工学科卒後、同月丸泰土木入社。2019年12月取締役営業部長、23年12月常務、25年9月から現職。千葉県出身。69年3月21日生まれ、56歳。
将来に見据えるのは一世紀企業。「来年には65周年を迎えるが、目標はその先の100周年だ。そのために大事なのが人材だ」と、言葉に熱が込もる。担い手の確保につながればとの思いから、先日、地元のラジオ番組にも出演した。「初めての収録で緊張した。若いリスナーに興味をもってもらえたら。ちなみに15日に流れますよ」と目を細めた。時折見せる笑顔が印象的だった。
