国土交通省は、直轄土木工事の新たなダンピング(過度な安値受注)対策として、人材育成の経費や自社利益などを適切に反映した価格での入札を促す仕組みを検討する。直轄工事で試行する賃金と労働時間の実態調査の拡大と工事成績評定での評価を通じて、予定価格を推測する入札から必要な費用を適切に見積もる入札への転換を働き掛ける。市場原理に基づく公正な競争の結果として契約価格が決まる環境を目指していく。
21日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の建設生産・管理システム部会で方針を説明した。
公共工事品質確保促進法に基づく従来のダンピング対策に加えて新たに取り組む。自社の施工能力を考慮した上で、品質確保に必要な経費や利益を適切に見積もる入札を促進するための対策を講じる。
直轄工事で25年度から試行している賃金や労働時間の実態調査を拡充する。調査は元請けや下請けによる労務費・賃金の支払い、実労働時間の見える化が目的。入札時に内訳明示した労務費と実際の支払額を比べ、公共工事設計労務単価水準の賃金支払いにつなげる。
現行の受注者希望型から発注者指定型に段階的に移行し、調査の実施件数と対象工種の割合を100%に高める。調査が広がれば、入札者が適正な賃金支払いに必要な入札価格を算出できるノウハウが蓄積するとみる。労務費の内訳明示を可能にするため、市場単価の工種は標準単価に見直していく。
実態調査の取り組みは工事成績評定で評価する。「施工体制一般」に労働環境の適正な整備に関する項目を追加し、調査実施の有無を評価する。運用方法は実態調査の拡充に合わせて見直していく。
総合評価方式の技術提案評価型S型を活用し、現場の猛暑対策を評価する試行も始める。分任官工事も含めて対象とし、具体的な方法と定量的な効果を評価する。地方整備局などに近く文書を発出する。
適正価格の入札を促す仕組みと並行して、不調や不落を回避する予定価格の積算方法なども検討する。
会合で委員からは「労働条件は競争の対象としてはならず(今回の取り組みで)規制するのは良いこと」「賃金の適正支払いにより価格から時間の競争に転換し、生産性向上と働き方改革の両立につながる」など、取り組みに期待する意見が出た。
