中東情勢の悪化に伴い、石油由来の建設資材の供給不安が広がっている。先行きが依然不透明な中、一部資材で価格上昇の動きもあり、建設現場に影響が出ている。日刊建設通信新聞社などのインタビューに応じた国土交通省の楠田幹人不動産・建設経済局長は、価格転嫁協議の円滑化に向けて改正建設業法で措置した「おそれ情報」の活用を呼び掛けるとともに、民間発注者に対する働き掛けに注力する方針を示す。
建設資材の供給不安定化は塗料用シンナーを皮切りに、建材や住宅設備などに広がった。政府は石油系資材の多層的なサプライチェーンの途中段階で目詰まりが生じているとみており、国交省と経済産業省が連携しながら流通網の目詰まり解消に当たっている。「情報を収集して一つひとつ課題解消に取り組んでいる」と現状を説明する。
調達環境の悪化に伴い、一部の建設資材で値上げの動きが出ている。経済調査会が4月17日に公表した最新調査では、塗料用シンナーやストレートアスファルトなど石油系資材7品目の価格が前月から上昇。価格の先行き見通しも9品目が「強含み」となった。
事態収束の兆しが見えず、建設業界への影響の広がりが懸念される中、楠田氏は改正法に基づくおそれ情報を活用した価格転嫁ルールの実行を呼び掛ける。改正法により契約前に資材高騰などが発生する恐れを注文者に通知することで、影響が顕在化した場合の価格変更協議を円滑にできるようになった。
「今回は典型的なパターンだ。うまく活用してほしい」と建設業界に呼び掛ける。注文者には誠実な協議に努める義務が課されるため、受注者が価格転嫁のためのツールとして積極的に使いこなす姿勢が求められる。
建設業界からは、特に民間工事での価格転嫁協議に懸念の声が寄せられているという。さまざまな機会を捉えて民間発注者に価格転嫁ルールを周知するとともに、適正対応に向けた呼び掛けに注力する方針を示す。
引き続き業界団体を通じた情報収集で実態把握に努めつつ、必要に応じて個社へのヒアリングを実施する考え。国交省は相談窓口を設けており、「個別に問題があれば、ぜひ情報を寄せてほしい」と語る。
