【EYストラテジー・アンド・コンサルティング パートナー 中田博之氏/アソシエートパートナー 福田健一郎氏/業界横断の伴走者に/インフラの面的管理を支援】
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、PFI・PPPの支援をはじめ、民間企業の人材確保、AI(人工知能)活用など、建設産業への幅広い支援を展開している。インフラ老朽化や人手不足などの課題に直面する業界を同社はどう見ているのか、民間企業の戦略立案や経営支援に携わる中田博之パートナーと、公共インフラの官民連携事業を数多く手掛ける福田健一郎アソシエートパートナーの両氏に話を聞いた。
十数年にわたりインフラ分野のPPP事業に関わってきたという福田氏が、同社で一貫して取り組んできたのが上下水道と空港だ。「ウオーターPPP関連で10を超える自治体を支援している。国のガイドラインの策定も2年度連続で担当した」と話す。空港コンセッションでは関西国際空港をはじめ北海道、富山など実績は豊富だ。競合他社の中でもこの2領域は強みという自負がある。
体制も充実している。「水業務に携わっているメンバーだけで20人を超え、民間出身の技術者や自治体職員出身者まで人材の幅は広い」と説明する。会計士はもちろん税理士、弁護士法人も擁し、複雑なコンセッション案件のスキーム形成などで総合力を生かしている。
市場の変化については、「やはり老朽化と人手不足が大きい」と要因を分析する。最近では、下水管きょの劣化をAIで予測するプロジェクトに取り組み、人材面では「外国から建設分野での技能人材をどう日本に呼び込み、定着してもらうか」の部分で支援も手掛けている。
民間企業からはどんな相談が寄せられているのか。中田氏は「国内市場がシュリンクしていく中で、海外というのは一つのキーワードだ。海外市場への展開やM&A(企業の合併・買収)などの相談は多い」と語る。
加えて多いのはAIやDX(デジタルトランスフォーメーション)分野で、「設計図面へのAI活用や、サプライチェーン全体のコスト削減がテーマになっているが、これらの分野は個社の取り組みだけではなかなか前に進んでいかない」
根本的な改善には、「例えば資材規格の共通化や共同配送など、企業が協力する横断的な取り組みが必要ではないか」と指摘する。不動産・建設・メーカーなど業界を越えたネットワークを持つコンサルティングファームには、こうしたエコシステムづくりを支える力がある。費用やノウハウの面で中小企業単独ではなかなか難しいデジタル投資も「資本の集約や、緩やかな連合体のような共同投資の仕組みが一つの方向性になる」との考えを示す。
個社支援にとどまらない視点で福田氏が注目しているのは、地域インフラの一体管理と担い手の育成だ。着想の源はドイツの都市インフラ公社「シュタットベルケ」。現地で「上下水道も道路もトラムも横串で管理し、現地の高校を出た技術者が町のインフラを守るプロとして育っている姿」が強く印象に残ったという。
秋田県などで官民出資による上下水道インフラの管理組織を立ち上げたのは、日本版の実践の第一歩だ。日本では地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)の取り組みが進む。人口減とインフレが進む中、「個社支援にとどまらず、業界横断の連携やインフラの面的管理の在り方を模索する伴走者でありたい」と未来を見据える。
(おわり・武内翔、中村達郎)
