日本ダム協会(押味至一会長)と国土交通省との意見交換会が5月28日、東京・霞が関の同省で開かれた。協会はダム事業の減少で技術継承が危ぶまれていると訴え、新規・再生事業の推進を要望した。各社がダムに関する技術開発や人材育成に積極的に取り組めるよう、中長期の発注見通しを公表して事業の予見性を高めることも求めた。
廣瀬昌由技監は開会に当たり、高市早苗政権が掲げる危機管理投資・成長投資に触れ、「ダムは危機管理投資の象徴だ。防災が十分でない地域は経済発展も難しいため、成長投資のインフラでもある」と述べ、ダムの役割を広く発信することが必要とした。
押味会長は国土強靱化やエネルギー自給の観点からもダムの重要性は増すと強調。その上で「ダム施工に不可欠な技術は維持・向上が難しくなっており、官民を挙げて解決すべき課題だ」と訴えた。
協会の提言では、ダム事業数の大幅な減少によって「技術の継承に大きな不安が生じている」と窮状を説明。ダムの施工は「経験工学の最たるもの」とし、ダム事業の推進や技術継承に対する支援を要望した。
とりわけダム事業の確保が技術継承の根本的な解決策になるとし、新規・再生事業の推進や、事業効果が見込める中止・休止事業の再開を求めた。各社が技術開発や人材育成を進めるためにも、事業の中長期見通しの公表を提案した。
高度なダム技術を継承するため、国交省と受注者共同によるダム技術の開発を要望した。ダム工事を多くの会社が経験できるようにするための共同企業体の組成方法の検討や、技術者育成のため実績要件の緩和も必要とした。
ダム工事特有の現場条件を踏まえた支援も求めた。現場制約や施工計画の不備が収益性を悪化させ、各社の技術開発投資を抑制しかねないと指摘。特殊な資機材を使うダム工事に見合った積算基準や間接工事費、新たな技術開発を評価する入札契約方式の導入を要望した。
意見交換は冒頭を除き非公開で実施。協会によると、官民連携で技術継承を進める必要性について認識を共有した。
国交省からは各地方整備局の意見を本省で集約して課題に対応する意向が示されたという。
