【メンテナンスDXに意欲】
水資源機構の理事長に岡村次郎氏が就いて2カ月余りとなる。気候変動の影響で水機構の重要性は高まっているとの認識を示した上で、今年度からスタートした4年間の第6期中期計画の着実な実行を目標に掲げ、特にインフラメンテナンスでのDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用に意欲を示す。水の技術の海外展開の意義も強調し、「長年培ったネットワークを生かしながら政府とともに取り組みたい」と力を込める岡村理事長に、今後の注力施策などを聞いた。
--就任の抱負を
「当機構は日本の水に関して大切な役割を担っており、極めて重要な仕事だと考えている。特に近年は気候変動の影響で、豪雨災害や渇水も発生している。気象の状況が厳しくなる中で、機構の重要性が高まっている。今年度は機構が新たに策定した第6期中期計画の初年度であり、しっかりと取り組みたい」
「進む担い手不足に対応するためには、効率よく仕事をすることが大事になる。AI(人工知能)をはじめとするICT技術がいろいろと進んでいる中で、そこをキャッチアップして業務に生かすことが重要と考えている。重要な課題の一つであるインフラメンテナンスには、DXを活用することが必要不可欠になる。新しい技術を使うことに躊躇(ちゅうちょ)しない職場環境にしたい」
--注力する施策は
「昨年度から組織の在り方を見直して18の総合管理所に集約した。そうした中で、遠方で施設をどこまで管理できるか、その課題に挑戦していかなければならない。山の中のダムや3000㎞に及ぶ水路をDX技術で遠隔管理することが今後不可欠だ。既に、ダム堤体や洪水吐きコンクリート、水路施設などの状態調査や斜面崩落箇所の調査などにはUAV(無人航空機)を導入し、日々の巡視、点検、調査などへの活用が進む。水面下の施設の点検や調査では、水中ドローンを採用しており、そうした流れを拡大したい」
「このような技術面での取り組みの一方で、人材の確保や働き方改革も推進する。機構は全国組織であるため、現在は転勤が伴う。ただ、定住志向の若者が増え、ライフスタイルの変化に応じて働き方の考えが変わる職員も存在することも踏まえ、そうしたニーズに対応していきたい」
--海外展開について
「日本は水に関わる技術が進んでおり、その強みを生かした海外展開は非常に重要な対応と考えている。水機構という技術者集団は水資源分野の海外インフラ展開も担っており、建設会社やコンサルタントなどさまざまな企業の受注機会が増えるよう、長年培ったネットワークを生かしながら政府とともに取り組みたい」
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(おかむら・じろう)1990年3月東大大学院工学系研究科修了後、同年4月建設省(現国土交通省)入省。中部地方整備局企画部長、水管理・国土保全局河川計画課長、官房技術調査課長、北陸地方整備局長、水管理・国土保全局長、内閣官房国土強靱化推進室次長などを歴任し、24年7月退官。25年4月日本建設情報総合センター建設情報研究所長を経て、26年4月から現職。奈良県出身、60歳。
◆記者の目
厚生労働省で水道行政を経験し、東日本大震災では政府の対策本部で任務に当たった。国交省以外の勤務も経て、「国土強靱化の概念はとても意義深い」ことを改めて実感し、「強靱化の概念はしなやかに強く、何かあった時には臨機応変に対応し、できるだけ早く元に戻すことにある。これは自然災害だけでなく、組織そのものの在り方にもつながる」と感慨深げに語る。新たな組織のかじ取り役として、強靱な組織運営が期待される。
