政府は12日、首都直下地震の新しい被害想定を踏まえた同地震の防災対策推進基本計画の変更を閣議決定した。新たな計画では、想定する死者約1万8000人、全壊棟数約40万棟に対し、今後10年でそれぞれ半減以上に減らすことを減災目標として掲げた。目標達成に向け、住宅の耐震化や上下水道施設、道路、港湾、空港などライフライン・インフラの強靱化、二地域居住の推進などに力を入れ、被害軽減を図る。 =関連2面
同計画は切迫する首都直下地震に備え、緊急に実施すべき対策や目標などを定めた。減災目標について、前計画では想定する死者数、全壊棟数から「おおむね半減」する方針だったが、確実に半減を達成させるため「半減以上」との表現に変更した。KPI(重要業績評価指標)を示した各施策の具体目標も大幅に増やした。国土強靱化実施中期計画を踏まえた目標も設定し、目標数は前計画の3倍以上の189項目となった。
緊急に実施すべき対策は、▽防災意識の醸成と社会全体での体制構築▽首都中枢機能の維持▽膨大な人的・物的被害への対応強化▽迅速な復興・より良い復興への備え--の四つを柱とした。このうち人的・物的被害への対応強化については、予防による被害軽減、災害対応力の強化、災害対応ニーズの抑制と役割の分担の3点を具体化する
1都9県の緊急対策区域内で実施する主な対策を見ると、耐震性が不十分な住宅をおおむね解消させ、2035年度までに耐震化率100%に近い状態を目指す。感震ブレーカー設置もおおむね全て完了している状態を目標に掲げた。延焼の危険性がある密集市街地の解消も30年度までに取り組む。
ライフラインでは、水道の導水管・送水管の耐震化率を23年度の48%から30年度までに62%に上昇させる。下水道管路の耐震化率も71%から81%に引き上げる。
道路の機能維持・強化に向けては、30年度までに緊急輸送道路上の橋梁の耐震化率を23年度比6ポイント増の90%達成を目標に定めた。市街地などの第1次緊急輸送道路の無電柱化は14ポイント増の82%の整備完了を目指す。
港湾施設や空港の基本施設の耐震化、老朽化対策も推進する。
首都中枢機能を維持するため、30年度までに全国ベースで増強運用容量875万kW規模の送電網を整備する。通信機能についても、緊急対策区域内で災害対策本部周辺などにある基地局の強靱化を進める。効果的な道路啓開に向けて道路啓開計画に基づいた訓練を根付かせる。
東京圏では中枢機能が維持できなくなる最悪の事態も想定し代替拠点を検討する。詳細は政府業務継続計画で定める。
TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)活動の強化に向けては統合災害情報システム(DiMAPS)など情報集約ツールの開発を通じて被災状況の把握を高度化する。
今後、減災目標の達成に向けてフォローアップを毎年実施する。具体目標などの進捗(しんちょく)や対策を進める上で浮上した課題を確認する方針だ。
