【さらなる成長の柱探る】
DNホールディングスの社長に藤本弘之氏が就任した。事業会社である大日本ダイヤコンサルタントとの社長兼務体制を解除し、持ち株会社としてグループ全体のガバナンスと成長戦略を担う形に改めた。公共事業予算が伸び悩む中、「効率化と生産性向上で利益を伸ばし、民間分野を柱に育てたい」と意欲を見せる。経営統合から5年、新たなステージに入ったグループのかじ取りを藤本社長に聞いた。
--就任の抱負は
「大日本コンサルタントとダイヤコンサルタントの経営統合から5年目に当たり、全国のうち、2社で重複していた事業所の統合がほぼ完了した。技術者同士の交流もより加速し、一層のシナジーを発揮したい。今回、持ち株会社と事業会社で社長を分ける体制にした。コンプライアンス意識の強化を図り、取締役の相互監視・監督など、ガバナンス強化にも努める」
--経営環境をどう見るか
「国土強靱化実施中期計画もあり、公共事業の予算は堅調だ。ただ、人件費の単価は年々上がっており影響は無視できない。能登半島地震とその後の豪雨災害に関わる業務はほぼ収束している。一方で、データセンターの建設やエネルギー需要の高まりを背景に、原子力発電所の新設・再稼働の動きが見えてきた。実績も豊富なだけに、着実に需要を取り込みたい。加えて、資材や宿泊費などの物価高でコストも増えており、効率化で無駄を省くことが欠かせない」
--民間分野の開拓は
「売り上げの構成はおおむね公共が7割、民間が3割だ。現状の公共の規模を維持しつつ、民間をどこまで引き上げられるかが課題で、将来的には5割を占めるところまで伸ばしたい。原動力は、敷地内にインフラを抱える民間企業の施設更新需要や脱炭素関連事業だ。風力発電などの再生可能エネルギーのに取り組んだ実績を生かす。ほかにも、発注の増加が見込まれる防衛施設に関わる業務にも遅れることなく対応していきたい」
--生産性向上やDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みは
「昨年、大日本ダイヤコンサルタントの社長直轄組織としてDXを推進する専門組織を立ち上げた。AI(人工知能)などを活用し、効率化と生産性向上を一段と進める。例えば、弾性波探査の波の解析などは、過去の波形や事例を学習させることで解釈に伴う個人差をなくすことができる。一方で、現場で構造物や地盤を見て判断することは人間にしかできない。さらなる成長には両方を生かす必要がある」
--今後のグループ体制は
「持ち株会社の傘下は大日本ダイヤコンサルタント一社で、その下に複数の子会社がある。当社に足りない技術や強みをさらに高められる企業があれば、グループに加えることも考えたい。子会社の規模に合わせてホールディングスの直下に置くことは将来的にはあり得ることだ。現状の専門性だけでは進めにくい事業もあり、規模拡大に向けてはM&A(企業の合併・買収)も選択肢となる。グループとしての総合力を一段と高めたい」
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(ふじもと・ひろゆき)1982年3月長崎大工学部土木工学科卒後、同年4月ダイヤコンサルタント(現大日本ダイヤコンサルタント)入社。2017年4月取締役経営本部長、21年4月常務、22年9月専務、23年7月代表取締役副会長。DNホールディングスでは、21年7月執行役員管理本部長、25年9月代表取締役兼副社長執行役員を経て3月から現職。山口県出身、67歳。
◆記者の目
グループ全体を俯瞰(ふかん)し、AIの普及や人件費の上昇といった時代の流れを冷静に読む。尊敬するのは京セラ創業者の稲盛和夫氏。「誰にも負けない努力をする」といった同氏の言葉の数々を心の片隅に置き、自ら先頭に立って、顧客の利益を第一に考える姿勢で着実に会社を未来へと導く。
