中小企業庁は26日、価格交渉促進月間フォローアップ調査結果を公表した。2025年10月から26年3月末までの間の価格交渉・価格転嫁などの状況を調査した結果、官公需取引で価格転嫁率が48.4%と、前回調査の52.1%より低下したことが分かった。今回初めて実施した組織別調査では、市区町村が45.7%(前回49.2%)、都道府県が50.6%(54.9%)と特に転嫁率が低いことが判明した。企業からは「交渉を断られた」「予算制約を理由に価格転嫁を断られた」などの意見があったという。
原材料費やエネルギー費、労務費などが上昇する中、多くの中小企業が価格交渉・価格転嫁できる環境を整備するため、21年9月から毎年9月と3月を価格交渉促進月間に設定し、促進月間終了後にアンケートと取引Gメンによるヒアリングを実施している。26年3月調査では、30万社に調査票を配布し、6万9625社から回答を得た。このうち官公需の回答数は7840件(前回7193件)だった。
官公需の価格交渉・価格転嫁の状況を見ると、「価格交渉が行われた」割合は90.2%で前回の89.5%より上昇した一方で、「全額価格転嫁できた」が21.2%で前回の24.9%から減少、「全く転嫁できなかった」が20.6%で前回の17.6%より増加した。
価格転嫁状況を組織別にみると、国の転嫁率が57.8%と最も高く、独立行政法人等が53.8%、都道府県が50.6%、市区町村が45.7%と続く。このうち官公需取引の約7割を占める工事も同様の傾向で、最も高い国が59.2%となる一方で、最も低い市区町村は45.3%となった。
回答した企業からは、「複数年度で契約した案件で契約期間途中で価格交渉をしたものの、転嫁を認めてもらえなかった」「最低制限価格が導入されておらず、コストが上昇しているのにもかかわらず契約金額は毎年下がっている」「公共工事のため設計単価が固定されており、実勢価格と乖離(かいり)があっても価格に反映することができない。スライド条項があっても手続きが煩雑で使いにくい」などと苦境を訴える声が寄せられた。
一方、建設業全体で見ると、68.5%で価格交渉が実施され、価格転嫁率は53.0%だった。価格転嫁の状況は、「10割」が19.1%、「7-9割」が19.4%だったものの、「0割」が10.6%、「マイナス」も0.9%あった。企業からは、「原材料費やエネルギー費、人権費高騰を踏まえ、発注側から早期の再見積要請があり、価格協議が円滑に行われている」「労務費などを明示した見積もり・契約が進み、安全衛生費なども可視化され、価格交渉や転嫁の協議が行いやすい環境になった」との意見がある一方で、「工事中に予定外の作業が発生し費用が増加したが、約束していないと強く否定されて工事代金を支払ってもらえなかった」などの声もあった。
26日の閣議後会見で赤澤亮正経済産業相は、官公需の価格転嫁率が前回から低下したことに言及し、「国や地方自治体が率先して価格交渉、価格転嫁に取り組むべきところ、官公需の価格転嫁率が低下する結果になったことは誠に遺憾だ。調査を踏まえて、8月には発注者ごとに価格転嫁の状況を整理したリストを公表する。地方自治体の首長から発注を担当する職員まで、官公需の価格転嫁が適切に行われるようしっかりと対応してほしい」と強調した。今後、取組状況の実態把握を強化していく方針も示した。
