【変化に対応し責務果たす】
現下の物価上昇で建設工事のコスト面にこれまで以上に注目が集まっている。資材価格や工事費の動向などを調査・提供する建設物価調査会の理事長に5月29日付で就任した村山一弥氏は「財団法人の強みを生かし、公平中立な立場から一貫して価格調査をしてきたことが最大の強み」と自負する。社会情勢が急速に変化する中にあって「変化に的確に対応し、社会的責務を果たす運営をしていく」と語る村山理事長に今後の方針を聞いた。
--就任の抱負は
「1947年の創立以降、土木・建築工事に関する工事費や関連資材の価格調査に一貫して取り組んできた伝統と歴史がある。公平かつ中立な立場から価格を調査し、データの蓄積があることが当会の最大の強みと認識している。昨今の地域的紛争や少子高齢化など時代とともに社会の変化のスピードは速く、幅も広くなっており、的確に対応していかなければならない。社会的な責務を果たす運営をしていく」
--建設業を取り巻く課題とその対応について
「担い手3法の改正や時間外労働の上限規制は、過去から指摘されていた課題への対応を迫られる段階に来ていることを示している。脱炭素化などこれから対応しなければならない分野もある。顕在化する課題に対してわれわれも一つひとつ対応していく。建設業界の課題解決に携われる立場にあり、組織の強みを生かしていきたい」
--今後の事業展開は
「価格調査はコア事業としてしっかり取り組む。その上で、周辺部分としてデータの利活用に取り組んでいく。デジタル活用による効率化のニーズは強まっている。建設物価のウェブ版『Web建設物価』では、来年度から『土木コスト情報』と『建築コスト情報』のデータを検索できるようにして利便性を高める」
「国の政策にも対応していく。BIM/CIMについては土木関連のCAD部品データを収録した『i-部品Get』を提供しており、価格調査の知見も生かして領域を少しずつ広げている。熱中症対策に関しては、現場管理費の補正額や工期設定に必要な猛暑日の日数を確認できるサイトを設けている」
「周辺部分については、他の組織や企業とも連携し、オープンイノベーションを通じて積極的に事業展開したい。建設分野の課題解決に向けた研究をしている大学の研究者などにも助成をして、知見を活用するための種にしていきたい」
--2027年に迎える創立80周年に当たって
「公共工事を適切に発注するためには適正な予定価格の算出が不可欠だ。この基礎が変わらない限り、当会の責務がなくなることはない。実績に慢心せず社会の変化に的確に対応し、新たなチャレンジをすることで安定的かつ着実に発展していきたい」
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(むらやま・ かずや)1986年3月東大工学部土木工学科卒、88年3月同大大学院工学系研究科修士課程修了後、同年4月建設省(現国土交通省)入省。九州地方整備局長、道路局長、内閣官房国土強靱化推進室次長などを歴任し、23年7月退官。26年4月から建設物価調査会顧問。63年2月25日生まれ、63歳。
■記者の目
入省1年目に配属された工事事務所で積算業務に従事し、『建設物価』を活用していたことから「非常に親近感がある。一番の基礎に携わることができ、うれしい思い」と率直な胸の内を明かす。昨今の中東情勢に伴う物価上昇により、信頼性の高い価格情報に対するニーズは一層高まっている。これまで培った信頼とノウハウを武器に、創立80周年とその先の社会を見据えた事業展開を描いていく。
