日本建設業連合会(押味至一会長)は、2027年度の税制改正要望をまとめ、28日の理事会で決議した。重点要望事項の第一には引き続き、元請けが協力会社の生産性向上や安全教育、採用などを支援する費用の税額控除を掲げた。また、新規事項として、単身赴任者の帰宅旅費の非課税化と、建設業退職金共済制度掛け金の上限額(損金算入限度額)引き上げを盛り込んだ。今後、政府・与党に対する要望活動を順次展開し、例年12月中に決定される与党税制改正大綱への反映を目指す。 =関連2面
協力会社の支援に関する法人税制の改正要望では、元請けが拠出する下請け支援費用の全額または一部の税額控除を提案する。これが難しい場合は少なくとも、損金として認めるよう求める。
技能者の高齢化が進行する建設業界の担い手確保のためには、処遇改善に加え、技能の継承や若手技能者の育成なども重要な課題となっている。技能者を雇用する専門工事業者は中小零細が大多数を占め、個社単位の取り組みには限界があるのが実態だ。
そこで、元請けが中心となり、サプライチェーン全体を対象として効率的かつ実効性のある取り組みを推進する必要がある。しかし、下請けの支援費用は現状、税務上「一般寄付金」に整理されることが多く、元請け主導の取り組み拡大を阻害する要因となっている。
日建連要望では、▽DX・業務効率化支援(共通システム導入支援、サポート体制構築費用)▽安全・教育支援(講習会実施、資格取得費用の補助)▽採用支援(採用活動支援、高校生向け出前授業、職種別技能体験会などの担い手確保活動、研修への参加機会提供、育成プログラムの提供)▽モチベーション向上に資する費用(優良企業・職人の表彰、ポイントプログラムの導入・運営費用)▽資金・経営支援(電子契約の導入支援、生産力強化のための活動奨励金)--といった元請け負担の費用を税額控除の対象とするよう働き掛ける。
引き続き、印紙税の廃止も強く要望する。ただ、40年継続して要望しても実現しない強固な岩盤でもあるため、印紙税不要の電子契約を促進する優遇措置も併せて求める。電子契約ができる企業の入札参加資格での加点、電子契約の標準化などを訴える。
新規要望する帰宅旅費の非課税化は、単身赴任者の経済的負担を軽減することなどが狙いだ。災害復旧や各地のインフラ新設・更新を担う建設業は、技術者配置の要件などもあり、単身赴任が避けられないケースも少なくない。
単身赴任者の帰宅旅費は課税対象となり、所得税や住民税が支給額から控除されている。日建連は物質的、精神的な負担の大きい単身赴任者に、さらに経済的負担を課す現行制度は、若者の建設業離れを一層加速することが危惧されると指摘。建設業の持続可能性の観点から、非課税化を求める。この要望はかねてより、ゼネコンの労働組合で構成する日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)が訴え続けており、日建連としても歩調を合わせ、労使一体で実現に取り組む。
