28日午後に発生し、熊本県を中心に最大震度7を記録した「令和8年熊本地震」は各地のインフラに大きな被害をもたらした。高速道路は九州道や南九州道など各路線で橋梁の桁ずれや路面の段差、隆起などが起き、広範囲で通行止めとなった。港湾では八代港で岸壁の液状化を確認。水道施設も甚大なダメージを受け多くの世帯が断水に見舞われた。県内の商業施設では地震後に爆発現象が起きるなどの被害も生じた。こうした状況に対し、建設業界や関連業界は、救援物資の手配や応急復旧箇所の現地調査などの被災地支援の動きを本格化させている。=関連2-4、8面
28日の地震発生直後、高市早苗首相は、早期の被害状況の全容把握や人命救助を最優先にした災害応急対策の実施、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)による積極的な支援などを指示。これを受け、国土交通省は同日夕に非常災害対策本部を開催した。金子恭之国交相は「国交省の現場力を最大限発揮し、被災者や被災地に寄り添った災害対応に全力で取り組むようお願いする」と呼び掛けた。
国交省がまとめた29日午前10時時点の被災状況によると、高速道路は、九州道益城熊本空港IC~えびのIC間で10カ所、南九州道八代JCT~水俣IC間で6カ所、九州中央道嘉島ICT~小池高山IC間では1カ所で道路損壊や橋梁損傷が発生した。
河川は球磨川水系、白川水系、緑川水系の計7河川で堤防天端のクラックなどを確認した。港湾は八代港で岸壁背後に段差や液状化、陥没を確認。熊本港はフェリー渡橋とガントリークレーンが損傷した。水道は熊本県と長崎県で約8万4000戸が断水した。
また、熊本県嘉島町のイオンモール熊本では地震後に爆発現象が発生。木原稔官房長官は29日の記者会見で、爆発の要因について調査中とした上で「消防や警察の捜索時には建物内でガス臭がしたという報告が入っている」と明らかにした。
TEC-FORCEは29日午前10時時点で、本省や九州、中国、四国の各地方整備局、国土地理院から34人が熊本県庁や被災自治体に向かい、被災状況の把握に努めている。九州整備局では、給水機能付き散水車や照明車など災害対策用機械の派遣を進めている。
建設業界も発災直後から被災地支援や応急復旧に当たっている。日本建設業連合会(押味至一会長)は東京の本部に緊急災害対策本部、九州支部に支部対策本部を立ち上げた。災害協定に基づき、九州整備局やNEXCO西日本などと連絡を密にし、飲料水、簡易トイレ、発電機といった救援物資の準備などを進めた。
29日には、九州支部が氷川町やイオンモール熊本などに仮設トイレを手配したほか、NEXCO西日本からの依頼を踏まえ、被災した複数の橋梁の現地確認に当たる技術者を派遣した。初動では、会員企業6社から8人の技術者が出動した。
全国建設業協会(今井雅則会長)も28日夜に災害対策協力本部を設置。各県建設業協会や国交省などの行政機関と連携して情報収集に当たっており、今後、応急復旧作業などの被災地支援を行っていく。
熊本市内の建設業者で構成する熊本都市建設業協会(森山澄江会長)は発災後、市内のインフラ点検を実施して大きな被害がないことを確認。早期の状況把握に努めた。
