【元職員が専門的助言担う】
九州地方整備局は30日、「令和8年熊本地震」の災害対応として、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊、テックフォース)予備隊員3人を熊本県に派遣した。民間人を災害時に非常勤の国家公務員として任用する「TEC-FORCE予備隊員制度」に基づくもので、2025年度の制度創設以降、全国初の派遣となる。
同制度は、建設企業や建設コンサルタント、地方自治体OBなどの専門人材を名簿に登録し、災害発生時に必要な期間のみ非常勤職員として任用する仕組みで、大規模・広域災害への対応力強化を目的に創設された。同局では25年10月に予備隊員として28人を登録した。
今回派遣したのは、河川分野の杉山光徳、道路分野の藤原史武、港湾分野の樋口晃の3氏で、いずれも同局元職員として16年熊本地震の災害対応に従事した経験を持ち、現在は民間企業で勤務している。3氏は熊本県庁を拠点に、被災自治体からの高度な技術的課題への助言を担う。
同局は29日までにテックフォース隊員やリエゾン(情報連絡員)など延べ約100人を現地へ派遣し、被害状況の把握や情報収集を進めてきた。今回の予備隊員投入により、自治体への技術支援体制を一段と強化し、災害復旧を加速させる。
30日の出発式で、阿部成二統括防災官は「被害の全容は明らかではなく、情報収集と技術的支援が極めて重要になる。これまで培った行政経験を生かし、被災自治体に寄り添いながら専門的な助言をお願いしたい」と激励した。
これに対し、予備隊員を代表して杉山氏は「被災地域の一日も早い災害復旧に貢献できるよう全力を尽くす」と決意を述べた。
熊本県によると、30日朝時点で415カ所の避難所に1万467人が避難しているほか、約2万2950戸で停電、八代市や氷川町、宇城市などを中心に約7万4800戸で断水が続いており、ライフラインへの被害は深刻だ。熊本県建設業協会が災害対策本部を置く八代建設業協会(熊本県建設業協会八代支部)では28、29の2日間で延べ約1000人がパトロールに従事した。
交通インフラは、同日午前までに九州自動車道植木IC~松橋IC、九州中央自動車道嘉島JCT~益城料金所の上下線で通行止めを解除。一方、九州自動車道松橋IC~えびのICや南九州自動車道八代JCT~日奈久ICでは通行止めが継続しているほか、県管理道路でも13路線16カ所で全面通行止めが続いており、広域交通ネットワークの早期復旧が急がれる。
