【住民帰還へ環境整備/なりわいの再生に注力】
8月4日付で就任した天河宏文復興庁事務次官は、日刊建設通信新聞社のインタビューに応じた。4月から第3期復興・創生期間が始まり、東日本大震災の復興事業は新たなフェーズに入った。特定帰還居住区域への帰還を希望する住民に向けた環境整備を重視する意向を示し、「地域外からの移住を含め、住民が暮らせるよう環境を整えることが一番重要」と指摘。「除染を進めるとともになりわいの再生にも取り組む」考えを強調した。
「特定帰還居住区域で帰還の意向を示している900世帯がスムーズに戻ってこられるように傷んでいる公共施設の整備をしっかりと進める」と力を込める。各地域のなりわいの再生も重要視する。「なりわいがあることで住民の帰還や移住が促進され、さらに多くの人が戻り、にぎわいが生まれる。府省庁にまたがっている基本的な政策をうまく取りまとめながら被災地のために努めていきたい」と展望する。
帰還希望者に寄り添った生活環境を整えるため、4月には福島県双葉町に福島復興浜通りセンターを設置。「40人以上の職員が常駐する。被災自治体とフェース・トゥ・フェースで聞き取りを行い、生活者目線で復興の状況を把握し、復興の足りないところをチェックしながら対応する」方針だ。
福島県内の除去土壌の県外最終処分に向けて、各省庁で復興再生土の活用を進めている。8月には仙台とさいたま新都心の両合同庁舎での利用を始めた。だが国民の認知度はまだ低いとし、理解醸成の必要性を訴える。「双葉町と大熊町は中間貯蔵施設の建設で重い決断を下し、除去土壌を受け入れてもらっている。復興再生土として使えるものを使い、最終処分に回す土壌を減らしていかなければならない」と気を引き締める。
本部棟の建築工事に着手する福島国際研究教育機構(F-REI)については「創造的復興の中核拠点となる。地域経済に還元されるような形で産業化に結び付けることが一つのミッションだ。科学力の底上げをしていくことも重要だ。優秀な研究者に国内から来てもらうためにも施設が必要になる」とし、「F-REIに限らず、建設経費が高騰している状況だが、しっかりと予算確保に努める」と誓う。
地震・津波被災地域に関し、4月に本庁内に設けた岩手宮城復興推進室で支援を続ける。「今後は震災で心を痛められた方々の心のケアに取り組む。厳しい状況にある水産業など産業面でもできる対応があるか話をうかがいながら考えていきたい」と話す。
これまでの取り組みを振り返り「復興庁が被災自治体からのワンストップ窓口となったことが一番大きかった。縦割りとなっている省庁の組織体制の中で横やりとなり各省庁をつないで被災地の要望に対応していく仕組みを構築できた」と評価する。年内に創設し、発災時から復旧・復興まで一環した災害対応の司令塔となる防災庁とも培ったノウハウを共有していく方針だ。
