【産業集積促進し「稼ぐ力」に/多様な人材集め地域活性化】
8月7日付で内閣府地方創生推進事務局長に就任した宿本尚吾氏が日刊建設通信新聞社のインタビューに応じた。7月に決定した地域未来戦略に掲げた「強い地域経済の構築」に向け、地場産業の付加価値向上などを図る地域未来交付金の充実に取り組む。「これまでの地方創生は各地域のまちづくりが中心となっていたが、これからは地域の外から『稼ぐ力』を取り入れるため、産業クラスターをいかに形成していくかが鍵となる」と指摘する。
地方創生を進める上で課題となっている東京圏の転入超過や女性の地方離れは依然として続いている。「事務局発足から10年以上に渡って地方創生に取り組んだ結果、多様な就業機会の創出や出産・子育て支援などで成功事例が出ているが、産業や気候など地域ごとで条件が異なり、成功事例をそのまま普遍化して全国に横展開することは難しい」との認識に立つ。その上で、さまざまな事情を抱える地方に寄り添いながら「地方の伸びしろを生かして稼げる産業をつくり、雇用創出を進めていかなければならない」と力を込める。
1993年4月に建設省(現国土交通省)に入省して以来、“住宅畑”を歩み、直近では住宅局長を務めた。今回、住宅行政から離れ、地方創生を指揮する立場となったが「にぎわい創出や産業の活性化など今まで積んできたキャリアとは違う分野も扱う。自分の見ている世界が広がった」と、日々発見があるという。
事務局には現在、約180人の職員が在籍する。半分は地方自治体、4割は各省庁、1割は民間企業からの出向という構成となっている。「それぞれの職員のバックグラウンドの違いをとても感じる。それは地方創生を進める上で良いことだ」と見ている。都市再生や特区制度など、自身の知見を最大限発揮しつつ「多様な職員のノウハウや経験とこれまで整備してきた法律や制度をうまく組み合わせながら地方創生を進めていきたい」と意気込む。
組織のマネジメントに関しては「多くの職員がいずれ元の自治体や省庁に戻っていく。ここで取り組んだ地方創生の経験がその後の業務に生かされることが、地方を含め日本全体の行政力の強化につながる」と指摘した上で、「ここでの仕事が『嫌な思い出』として残らないよう、楽しくわくわくしながら仕事に励める環境を整えたい」と話す。
また、「商店街の活性化、空き家対策などの施策で建設業のノウハウが必要となる。われわれも従事者が活躍できるよう環境を整備していかなればならない」と地域建設業が果たす役割に期待を寄せる。「建設業が地域の隅々まで存在し、きちんと機能していることは災害対応の面でも役立つことになる。地方創生にしても防災にしても建設業がきちんと地域に産業として成り立っていることが大切だ」と強調する。
