シミュレーターで生産性向上/東名多摩川橋床版を取替/バーチャルで現場可視化/NEXCO中日本 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

関東・甲信越

シミュレーターで生産性向上/東名多摩川橋床版を取替/バーチャルで現場可視化/NEXCO中日本

移動式床版架設機で新しい床版を設置
Dashboardシステム採用で現場管理を効率化
 NEXCO中日本東京支社は18日、DX(デジタルトランスフォーメーション)などにより生産性の向上に取り組んでいる東名高速道路(特定更新等)東名多摩川橋床版取替工事の現場を公開した。施工シミュレーターなどのICTやプレキャストコンクリート製品などを積極的に採用し、省人化、効率化、労働災害の防止に努めている。
 工事場所は、東京IC~東名川崎IC間の長さ495mの東名多摩川橋。東京都と神奈川県を結ぶこの区間は、1日の交通量が10万台を超え、工事に伴い車線を減らすと大渋滞が発生するリスクが高い。そのため、分割施工を採用し、車線数を確保しながら工事を実施している。床版を1000枚に分割して取り替えており、既に約800枚が終わっている。
 生産性向上を目的に導入している施工シミュレーターは、大林組とトヨタ自動車未来創生センターが開発中の「GEN-VIR(ゲンバー)」。3DCGにより現場をバーチャルで可視化する。バーチャル上でシミュレーションし、事前に施工改善することで、実施工の効率化を実現した。作業員が自分の役割や工事内容を事前に見て確認できるほか、待機時間が極力ないような施工計画に練り直すことも可能となり、省人化にもつながった。
 現場に潜在するリスクを分析し、バーチャルの動画として見える化、危険箇所を事前に共有することで安全性の向上にも役立てている。
 東京支社横浜保全・サービスセンターの花房秀樹更新工事担当専任課長は「この現場で試行して集めたデータなどを、今後他の現場にも反映させていくことが大きな使命だと思っている」と話した。
 複数のデータを一つの画面に集約するDashboardシステムや移動式床版架設機「ハイウェイストライダー」が床版を吊り上げて移動させている様子なども公開した。
 施工は大林組・大林道路JVが担当している。工期は11月16日まで。工事場所は東京都世田谷区砧公園~川崎市宮前区土橋。