能登半島地震/復旧・復興対策部会が始動/教訓生かし初動体制強化/日建連 | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

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能登半島地震/復旧・復興対策部会が始動/教訓生かし初動体制強化/日建連

初会合では現下の課題などを共有した
あいさつする芦田部会長
【復興フェーズへ後方支援】
 日本建設業連合会(宮本洋一会長)は23日、東京・八丁堀の東京建設会館内で、災害対策委員会の下に新設した「能登半島地震復旧・復興対策部会」の初会合を開いた。現地で緊急復旧工事に従事する14社から委員を集め、現下の課題などを共有。今回の教訓を生かした初動をはじめとする災害対応体制の強化や、緊急災害復旧業務の負担軽減など、今後の検討テーマを整理した2024年度活動計画を決めた。 会合後に取材に応じた芦田徹也部会長(鹿島常務執行役員土木管理本部副本部長)は「特に初動対応が大変だった。水がなく、通信環境も悪く、道路の渋滞も激しい中、本当に各社が頑張ってくれた。今も現地の北陸支部は、国土交通省北陸地方整備局と意見交換などを行いながら、きちっと機能している。今後、応急復旧から本復旧、復興へとフェーズが移っていく中、本部の役割として、しっかりと後方支援を行っていきたい」と話した。
 24年度活動計画は、▽能登半島地震災害の教訓を生かした緊急災害対応体制の強化▽緊急災害復旧業務の負担軽減▽緊急災害対応における広報活動の強化▽災害復旧工事、復興事業に関する課題▽関係機関との意見交換--の5点を主な検討テーマに据えた。初動からの活動手順と役割分担の改善、活動状況の情報共有、役に立った機材・設備の整理、契約手続きに関する負担軽減策などが個別の論点となる見込みだ。
 初会合に当たってはまず、今回の災害復旧での主な課題を整理した。日建連によると、国管理施設が少ない地域での災害だったため、北陸整備局の要請を受けた当初、県管理施設の緊急復旧から始めざるを得ず、県との調整と並行しながらの作業を余儀なくされた。この点に対しては、災害発生前の段階から国と県が協議し、権限代行も含めて緊急復旧の手順を準備するなど、早期復旧に対応できる体制構築の検討が望まれるとしている。
 宿泊場所が確保できずに車中泊をしたり、携帯中継局の被災で通信不可に陥るなど、厳しい環境下での作業となったことも大きな課題だった。キャンピングカー・オフィスカーや、衛星通信設備などの活用と普及が求められるという。
 国、県だけでなく、市町村施設の緊急復旧にも幅広く対応した。精算手続きの負担軽減を図るため、今回の実績などを整理した業界側としての手引き類の作成も検討する。
 また、今後は本格復旧も見据え、大量の資材が必要になることから、陸上・海上輸送なども含めた効率的な資材供給体制が求められてくる。大量に資材を置くストックポイントの準備なども論点になりそうだ。
 部会では、初動を含む緊急災害対応体制や広報の強化などを先行して議論する見通し。政府や県の復興計画策定などの進捗(しんちょく)を見ながら、必要に応じた検討を重ねる。
 日本建設業連合会「能登半島地震復旧・復興対策部会」の委員は次のとおり。
 ▽芦田徹也鹿島常務執行役員土木管理本部副本部長(部会長)▽河上清和五洋建設常務執行役員土木部門担当<営業>(副部会長)▽岩住知一鹿島土木管理本部技師長▽武村信也清水建設土木東京支店土木第二部長▽後藤隆之大林組土木本部生産技術本部トンネル技術部長▽小川普史大成建設土木営業本部営業部営業部長▽清水穂高安藤ハザマ建設本部建設企画部長▽佐野和久熊谷組首都圏支店土木事業本部営業部総括部長▽大木洋平西松建設土木事業本部副本部長▽町村俊彰前田建設執行役員土木事業本部営業統括▽池田澄人東急建設土木事業本部事業統括部土木工務部次長▽清原啓太戸田建設常務執行役員土木工事統轄部長▽山口澄靖飛島建設土木本部土木FSC部長▽舛甚幸一フジタ土木本部防災技術部部長▽谷口慎一佐藤工業土木事業本部副本部長。