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    ホーム > 能登災害で活躍する新技術(3)

積み重ねた経験生かし施工性と安全性を両立

 熊谷組が自社開発した「ネットワーク対応型無人化施工システム」と「AI(人工知能)制御による不整地運搬車(クローラダンプ)の自動走行技術」は、「令和6年能登半島地震」で甚大な被害を受けた国道249号逢坂トンネル周辺の道路啓開に大きく貢献した。施工性と安全性の両立という災害現場に立ちはだかる不変の課題を、積み重ねてきた知見、それを反映した新技術で解消した格好だ。

 

ネットワーク対応型無人化施工システム、AI(人工知能)制御による不整地運搬車(クローラダンプ)の自動走行技術

◆有人、無人施工を時間帯で分離

熊谷組北陸支店逢坂トンネル作業所長
高村忠勝氏

 熊谷組は、国土交通省北陸地方整備局が災害協定に基づいて日本建設業連合会に要請した、「令和6年能登半島地震国道249号啓開作業その2」を担当した。
 工事場所である国道249号逢坂トンネルの石川県輪島市側坑口は、震災で大規模な斜面崩壊に見舞われ、同路線の交通を確保する上で崩壊土砂の排土、斜面の安定化が求められた。
 現場は海岸線に近く、険しい山間部が迫る厳しい地形ではあったものの、頭部排土工の施工中は二次災害が発生する危険性が比較的低いと判断された。これを踏まえ、当初計画では有人施工のみで対応することとした。
 ただ、冬季には日照時間の減少、降雪などで作業時間が制限される。作業効率を維持するため、作業所長を務めた高村忠勝氏は「作業員の増員や運搬車両の追加を検討した」と明かす。被災地の宿泊施設不足、アクセス性の悪化が「支障となり、断念せざるを得なかった」中で、震災から9カ月後に発生した奥能登豪雨が「被害を拡大させ、工程全体に大きな影響を与えた」という。
 窮状を打破する切り札として導入したのが、同社開発の「ネットワーク対応型無人化施工システム」と「AI制御による不整地運搬車の自動走行技術」だった。
 無人化施工は夜間に限定し、昼間は有人施工とする「昼夜間分離方式」を採用。高村氏は、その理由を「安全ルールの順守と、現場条件への最適化」と説明する。
 国交省が2024年3月に策定した『自動施工における安全ルールVer1.0』では、オペレーターが搭乗する従来建機と、無人の自動建機の運用方法を定めている。
 有人施工と無人施工を同時運用する場合には、それぞれの施工エリアを明確に分離させることを義務付けているが、頭部排土工に伴う工事用道路は幅員が狭く、車両同士のすれ違いが難しい箇所が点在。明確なエリア分けが困難だった。
 加えて、有人施工での夜間の土砂運搬作業は、暗闇により昼間よりも危険性が増すため、有人施工と無人化施工を時間帯で切り分けることで、「安全性と施工性を両立した施工体制を実現した」。
 ネットワーク対応型無人化施工システムの司令塔となる遠隔操作室は、10tトラックなどに積載でき、3日程度で無人化施工に着手できる移動式ハウス型を導入。熊本地震の復旧事業である「阿蘇大橋地区斜面防災対策工事」でも活用した。
 対応する建機は、遠隔操作式の0.8m3級バックホー(1台)と自動走行式のクローラダンプ(2台)。夜間の視認性を確保するため、同社として初めて暗視カメラを設置した。
 クローラダンプの自動走行技術は、遠隔操作による「教示運転(ティーチング)」で走行経路を制御コンピューターに記憶させた上で、実際の自動走行時にその走行経路を追従する方式とした。
 運行管理は交通管理システムを採用し、実際の車両位置に基づいた仮想フィールドで制御する。具体的には、交通管理サーバーが仮想フィールドをグリッド(格子状)に離散(分割)化し、グリッド内に属性や走行指示などの情報を格納する。フィールド上を走行する車両は、グリッド内の情報を読み取り、車両自身が判断して走行する。
 あくまで主体は車両で、交通管理サーバーに問い合わせることで走行可否を決定する。サーバー側からは車両側に指示を出さないため、サーバーの計算時間を減らし、分散処理を可能としている。
 また、工事用道路が急峻(きゅうしゅん)かつ狭いがゆえに、車両同士のすれ違い場所の設定は容易ではなかったが、現場条件に合わせて車両間の安全距離を1m以上に設定。これに基づいて、教示経路を反映した事前シミュレーションを行い、接触事故が発生しない運行計画を策定した。
 実際の作業では、土砂の積み込みから運搬までにかかる時間として、昼間の有人施工が約12分、夜間の無人化施工が約23分だった。
 作業効率の観点では有人施工が優れているものの、「無人化施工はオペレーター一人で、バックホー1台とクローラダンプ2台を操作し、土砂の積み込みから運搬までを完結できた。作業員の確保が難しい災害復旧の現場で、この省人化効果は極めて大きい」とみる。
 自動走行では、クローラダンプの運転に伴うオペレーターへの負担は生じず、照明設備の手配・配置も大幅に軽減されている。
 一方、強風・降雪時におけるカメラの視認性確保や、モニターを通した夜間の地盤状況の把握など、さらなる技術の高度化に向けた新たな知見も得られた。
 復旧工事に伴う人材と資機材の調達が容易ではない被災地では、「最小限の人的資源で作業を継続できる夜間・無人化施工の意義は非常に大きい」と振り返る。逢坂トンネルは、24年12月27日に緊急車両などの通行を再開している。
 また、「今回明らかになった課題を一つひとつ解消していくことは、当該技術の汎用化、標準化につながる」とし、「当社の災害時応急復旧対応チームである『KUMA-DECS(クマデックス)』の枠組みを生かしながら、今後も建設業の社会的使命を果たしていきたい」と先を見据える。




▽工事名=令和6年能登半島地震国道249号啓開作業その2
▽活用企業=熊谷組

 
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