建設機械の遠隔化・自動化といったロボット技術を活用した土工の社会実装に向け、建設業者や研究機関、行政機関が連携して発足した「ロボット技術によるフィールド課題解決コンソーシアム(RoSFIC)」が、安全性の確保や都市土木への導入などの課題解決に向けて本格的に活動を始める。業種や組織の枠を超えた多様な人材が集う場とする方針で、会長を務める永谷圭司筑波大システム情報系教授は「課題解決へ変えなくてはいけない制度は変え、決まりごとが必要な場合は決めていく。いくつ課題を解決できたかが、このコンソーシアムの評価となる」と力を込める。
同コンソーシアムは、2025年から準備会で関係者が協議を進め、今年4月に設立した。永谷教授は建設分野のロボティクス技術などが専門だ。現在は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環で、土木研究所などとともに複数の自動建機の協働制御システムの開発に取り組んでいる。コンソーシアムは以前から取り組みたいことだったという。「現場で課題を抱えている建設業者、その課題を解決できる技術を持っている企業、課題解決を支える環境を整えられる行政の3者がフラットに話し合える場をつくりたかった」と話す。
コンソーシアムでは、▽自動施工▽安全▽自然災害対応▽都市土木のICT・自動化技術▽インフラ点検・メンテナンス――の五つのテーマについてワーキンググループ(WG)を設ける。
コンソーシアムの目的はあくまでも課題を解決して社会実装につなげることであり、必ずしも新しい技術を生み出すことに主眼を置いていない。「会員同士でニーズとシーズがマッチングしただけで解決に向かえば、それは一つの成功モデルとなる。解決が難しい課題に対し複数の会員でグループをつくり予算を要望していくこともありだ。法的効力はなくても『みんなでこれでいきましょう』と共通の決定事項を決めていっても良い」と話す。
取り組みの例として、コンソーシアムの準備段階から検討している自動建設機械の表示灯を挙げる。「自動モードの状態などを周囲に知らせる表示灯は、自動施工の各プロジェクトごとで表示色などばらばらの状態になっている。コンソーシアムで統一した仕様を世間に打ち出せれば事実上の標準となる可能性がある」と指摘する。
コンソーシアムには現在、スーパー大手や中小を含むゼネコン、スタートアップ(新興企業)など33社が正式会員として加盟。このほか、国土交通省や首都高速道路、情報通信ネットワーク産業協会が特別会員、大学関係者らが個人会員として参画している。
永谷教授個人としては「中小建設業者の現場を助けたいという思いがある」と明かす。「都市部の道路補修は中小の業者が担当しているが、現場が狭小であるなどの理由で自動化が進んでいない。担い手が減少する一方、インフラメンテナンスの面で都市土木の需要は今後もあるだろう。自動施工による都市土木の効率化は喫緊の課題だ」と語る。
26年度は、各WGで課題の洗い出しや解決策の検討を進めていく。フォーラムという形で年に3回程度、各WGの進捗(しんちょく)状況を確認し、共通する話題について意見を交わす。初回は8月7日に都内で開き、建設機械の安全をテーマとする予定だ。
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