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私と東日本大震災の15年

寄稿/赤川俊哉(オオバ上席執行役員技術本部長兼震災復興統括室長)

最終更新 | 2026/03/30 10:19

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「しんがり」の責任、次代へ

女川駅前の震災復興事業

 あの日、私は仙台市内の自社ビル7階にいました。8階建ての建物がねじれながら揺れるという、逃げ場のない恐怖を経験しました。備品やパソコンが激しく飛び散る光景に建物倒壊の危機を直感しましたが、揺れが収まった後の現実はさらに過酷なものでした。自宅マンションは「全壊」の判定。当時学生だった娘はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患い、一人で室内に居られない状態になりました。二重ローンの重圧を抱えながら、マンションを再建する前に新たな居住先を探し出さなければなりません。私自身も、間違いなく翻弄(ほんろう)される一人の被災者でした。
 しかし、技術者として立ち止まる余裕はありませんでした。むしろ自らの被災状況から逃れるようにして、震災復興業務に没頭しました。会社からは震災復興事業本部の副本部長を命じられ、宮城県石巻市や山元町を中心に、女川町、名取市、福島県浪江町など、沿岸被災地の復興業務全般のマネジメントを担うこととなったのです。
 発災直後、同僚と共にカメラとビデオを持って各地を巡り記録した被災地の惨状や、泥の中で長い棒を地面に刺しながら行方不明者を捜索する自衛隊・警察官の姿は、今も目に焼き付いています。当時、同僚と共に車中で流した涙は、純粋な悲しみというより、あまりの事態の大きさを前に立ち尽くすしかない自分への無力感だったのかもしれません。
 この歩みの中で私を支えたのは、当時から現職である当社社長から掛けられた「復興まちづくりの『しんがり』は頼む」という言葉でした。「しんがり」とは、困難な局面で最後まで現場に踏みとどまり、全体を支え抜く役割を指します。私はこの言葉を、単なる業務完遂ではなく「地域が自立し、外部の支援を必要としなくなるまで寄り添い続ける覚悟」だと定義しました。この覚悟を組織として体現してくれたのは、全国各地の拠点から被災地に集結した100人を超える多くの技術者たちです。
 彼らが自分のことのように現場に取り組む姿を間近で見られたことは、同じ技術者として非常に心強いものでした。また、復興業務を通じて接した自治体職員の方々の姿にも教えられました。彼ら自身も被災者でありながら、市民の声に丁寧に耳を傾け、寄り添い続ける。そこには、地域の再建に不可欠な「支え合う力」の本質がありました。この力がなければ、どれほど高度な技術をもってしても、真の意味で街がよみがえることはないのだと痛感しました。
 発災からの10年間、私は文字どおり復興に没頭しました。その後の5年間は、そこで得た経験や教訓を生かし、支店のマネジメントや他の地域の災害復興、防災・減災業務に従事するフェーズへと移っています。建設産業が提供するのは単なる構造物ではなく、人々の生活基盤そのものです。その責任の重さを、震災からの15年は私に突き付け続けてきました。現在、政府の「第2期復興・創生期間」でも持続可能な社会構築に向けた取り組みが進んでいますが、被災された方々一人ひとりの歩みに「完了」という区切りはありません。あの日見た光景と、共に闘った100人を超える仲間の背中、そして地域を支え抜く『しんがり』の精神を次世代につないでいくこと。建設産業が地域の守り手であり続けるために、私はこれからも現場に寄り添い、共に歩み続けてまいります。

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