復興願う住民の努力の結晶
東日本大震災の発生直後の緊急対応から復興事業まで、私は被災橋梁の点検・調査や復興橋梁の計画・設計・施工管理に携わりました。被災地からの要請を受け、橋梁の緊急点検を行っている中、国土交通省東北地方整備局東北技術事務所から同局管内での橋梁点検の要請があり、建設コンサルタンツ協会東北支部として対応しました。
技術委員会構造部会長として、点検手法や点検調書のまとめ方などの合同説明会を2011年4月8日に開催し、47班(協会加盟30社)態勢で、岩手・宮城・福島の国道11路線の本線橋梁1572橋とこ道橋343橋の調査を4日間で完了し、同月27日に報告書を提出しました。点検結果を分析して「被災橋梁補修検討会」に参画し、津波被害や地震による損傷に対する残存構造の活用可能性や復旧方針をまとめました。
津波で流失した国道45号歌津大橋の点検では、その姿に言葉を失いました。調査を続ける中で「必ず復興させる」という使命感が芽生え、技術者として力を尽くしました。
復興橋梁である気仙沼大島大橋、気仙沼湾横断橋、出島大橋(女川町)の事業に関わりました。気仙沼大島大橋は、宮城県気仙沼市の離島・大島と本土を結ぶ橋長356m、アーチ支間長297mの鋼中路式アーチ橋です。私は、橋梁予備設計・詳細設計、工事監督支援業務である施工管理を担当しました。
東日本大震災によって「命の道」となる大島架橋の必要性が再認識され、災害に強く耐久性と維持管理に優れる橋梁の建設を目標としました。架設は工期短縮を考え、陸上ヤードでの地組みと大型フローティングクレーンによる一括架設工法を採用しました。復興の歩みが目に見える形で地域に届くよう、現地では数多くの現場見学会が開催されました。
三陸沿岸道路の気仙沼湾横断橋は橋長1344mの橋梁で、気仙沼湾を横断する海上部は橋長680mの3径間連続鋼斜張橋です。設計コンセプト「東日本大震災の被害を踏まえ、想定外の事象に対しても損傷が制御され、維持管理しやすい橋」と、建設コンセプト「気仙沼湾の象徴となり、自然豊かな風景と調和した地域の発展・復興を支える美しい形態の橋」を掲げて要求性能を満たすよう設計しました。
女川町の離島に架橋した出島大橋は本土と出島を結ぶ全長364m、アーチ支間長306mの鋼中路式アーチ橋です。気仙沼大島大橋と類似した構造であったことから、この知見を生かして基本・詳細設計に取り組みました。この道路の開通は島民の悲願であり、生活や漁業の復興に大きく貢献することが期待されます。
気仙沼大島大橋、気仙沼湾横断橋、出島大橋の3橋は土木学会田中賞作品部門に選ばれ、気仙沼湾横断橋は、グッドデザイン賞や土木学会デザイン賞最優秀賞を受賞し、気仙沼大島大橋とともに「気仙沼復興橋梁群」として、復興デザイン会議第3回復興設計賞を授かることができました。これらは、発注者、技術検討委員、施工者の皆さま、そして復興を願う地域住民の努力の結晶だと感じています。
被災地は、インフラ整備は進んだものの、人口減少という課題に直面しています。地域を維持するためにインフラを利活用することが今後のテーマと考えます。復興道路は、移動手段を超え、生活を守るとりで、産業や観光を呼び込む架け橋としての役割を担っています。気仙沼や女川の漁業・観光の振興を心から期待しています。

