【環境・個体・コストにもやさしく】採水だけで調査可能! ハクバサンショウウオ生息地確認に環境DNAが有効 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【環境・個体・コストにもやさしく】採水だけで調査可能! ハクバサンショウウオ生息地確認に環境DNAが有効

ハクバサンショウウオの成体

 建設技術研究所とグループ会社の環境総合リサーチ、神戸大学の3者でつくる研究グループは、ハクバサンショウウオの生息地確認で環境DNAの有効性を実証したと発表した。2017年9月に北陸地方のハクバサンショウウオの生息域内で採捕調査と環境DNA調査・分析を行ったところ、ハクバサンショウウオが採捕された20地点中17地点で、サンショウウオ属に共通のDNAを検出した。
 ハクバサンショウウオは、環境省レッドリスト2017の絶滅危惧IB類(近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)に指定されている。亜高山帯に生息し、繁殖期には落ち葉や泥が堆積した緩やかな流れのある環境に産卵し、非繁殖期は倒れた木や落葉の下に潜むため、確認が困難な種という。

生息環境

 調査方法によっては、生息環境や生息個体そのものに大きな影響を与えるおそれがあるが、環境DNAは採水だけで調査が可能であるため、環境や個体への負荷を軽減させることができる。
 今回の調査結果により、環境DNAが環境調査での時間的・経済的負担の軽減や、生物の生息環境の保全に役立つことを実証した。今回はサンショウウオ属に共通のDNA配列を利用した解析だったが、今後はハクバサンショウウオ固有のDNA配列を明らかにし、調査の精度を高めていく。また、個体や環境に配慮した簡便な調査手法として、環境DNA調査を建設事業の保全対策へ活用することを目指していく。

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