【記者座談会】加速するリニア中央新幹線整備 大深度地下シールド施工へ法的手続き開始 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【記者座談会】加速するリニア中央新幹線整備 大深度地下シールド施工へ法的手続き開始

A JR東海の2018年度重点施策とそれに関連する設備投資が発表になった。
B 連結ベースの総投資額は5240億円と初めて5000億円台を超えた。沿線各地でリニア中央新幹線(品川~名古屋間)の工事が本格化するのが大きな要因だ。リニアは、前年度と比べて57.2%増の2500億円を見込む。東海道新幹線や在来線などの投資額2450億円を初めて上回った。

山梨県都留市のリニア実験線


A 工事の現状と今後の予定は、どうなっているの。
C 18年度は引き続き測量、設計、用地取得などを計画的に進める。また、リニア建設工事で工期が長期にわたり難易度が高い南アルプストンネル、品川駅、名古屋駅のほか、山岳トンネル、都市部の非常口などについても沿線各地で工事がさらに動き出す。もう少し具体的に言うと、南アルプストンネルの山梨工区は先進坑の掘削に加えて、3月に着手した本坑の掘削を着実に進めるという。長野工区については、地質の状況などにもよるが、斜坑に続いて先進坑の掘削を開始する予定だ。
D 品川駅は地下の掘削を始める前に行う地中連続壁の工事を進めるほか、名古屋駅でも在来線部分で線路を受け替える工事桁を、新幹線部では高架橋を支える仮受杭の施工を進める。
C JR東海から受託している鉄道建設・運輸施設整備支援機構が担当する中央アルプストンネルも南アルプス同様の難工事が予想される。現在、長野、岐阜県内の山口工区と長野県内の松川工区の施工者が決まっている。20日に松川工区の安全祈願式が行われ、これをもって着工ということだった。18年度は工事用道路整備やヤード整備などで、トンネル掘削は19年度末以降を予定している。中央アルプストンネルは、中央部分を中心に残る区間の工事が今後、発注されることになる。
A JR東海は3月2日に工事実施計画その2の認可を取得しているが。 
D 駅やトンネルなどの工事に次いで、電気関係の工事も新たに動き出す。次のステップとして、変電所の建設を始めとする電気関係工事が加わることになる。電気関係の工事についても、柘植康英社長は「今後、必要な準備が整ったところから工事を進めていく」と述べ、「ピークに向けて工事が本格化しつつある段階。19年度以降も工事費は増加する」との見方を示している。
A そのほかの18年度の新しい動向については。
D JR東海は、20日に国土交通大臣に大深度地下使用の認可申請をした。品川~名古屋間約286㎞のうち、東京都品川区から町田市までの33.3㎞の首都圏と、愛知県春日井市から名古屋市までの17㎞の中部圏で、それぞれ大深度地下の利用を計画している。土被りは首都圏で地下41-121m、中部圏で地下43-113mになる。
E 首都圏や中部圏では、本線トンネルを構築するシールド機の発進立坑となる非常口の工事が始まっている。また、5月には、大深度地下使用の認可申請に関する説明会も開く予定だ。18年度は、次のステップとして、シールド機製作・工事発注に向けた準備が本格的に動き出すことになるだろう。
A ところで、リニア談合に関連して東京都がゼネコンに対する指名停止措置を講じているが。
D 柘植社長は「プロジェクトの重要性、工事の状況を勘案し、今後、司法判断が出た段階で適切に対処したい。現時点では(国や自治体の指名停止に当たる)指名回避は行わない」との方針を明確にしている。

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