新日鉄住金は、意匠チタンのブランド「TranTixxii」(トランティクシー)を宮崎県日南市の鵜戸神宮にある住吉神社と案内板の屋根材に適用した。国の名勝における初めての採用事例で、沿岸部の伝統的建築物での適用拡大を目指すほか、文化財での適用に向けた突破口にしたい考え。
鵜戸神宮は、日向灘に面した国定公園日南海岸内に位置し、自然の洞窟内に本殿がある。海に面しているため、塩害で銅製屋根葺きから数年で腐食が始まることが課題で、通常の銅屋根なら40-50年持つにもかかわらず、25-30年ごとの屋根改修が必要となっていた。
今回、塩害に強く、長期的に建物を保護でき、伝統建築にふさわしい緑青発色の外観が評価され、トランティクシーの採用が実現した。耐久性は、通常の銅屋根の50年と同等以上になる見込み。チタンの使用面積は約20㎡で、チタン使用量は約50㎞。施工は、江口板金工業(宮崎県都城市)が担当した。
今後、鵜戸神宮本殿の屋根を含む神宮内の他の建物での採用に向けた協議を進める。