【竹中工務店・HEROZ】ビッグデータとAIで空間を最適化する制御システム 実証実験開始へ | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【竹中工務店・HEROZ】ビッグデータとAIで空間を最適化する制御システム 実証実験開始へ

 竹中工務店は、HEROZ(林隆弘代表取締役CEO)と共同でAI(人工知能)を活用して建物の空間全体を最適化する制御システム『Archiphilia Engine(アーキフィリア エンジン)』を開発した。今後2年間で東京都港区の「EQ House」で実証を行う。将棋AIで知られるHEROZにとっても、建築分野における取り組みは初めてという。

システム構成図

 共同で開発した「Archiphilia Engine」は、竹中工務店のビルコミュニケーションシステムで収集・保存するデータをHEROZが持つ独自のAI「HEROZ Kishin」で提供される学習エンジンに解析させる仕組み。
 1000点を超すIoT(モノのインターネット)センサーを用いて、照明や空調、電力だけでなく、 入居者の心拍数や快適性といった人の感覚に至るまで膨大な情報を取得。収集・処理したビッグデータをAIに学習させながら、設備システムの運転にフィードバックすることで、建物の空間全体を最適化していく。
 空調や照明のオンオフや室内の温度・湿度の設定など設備の管理や運転は通常、手動で行われているが、 センサーから取得したビッグデータとAIによる継続的な学習を組み合わせることで、設備システムの運転条件を自動的に最適化。 徹底した省エネルギー化と設備の管理・運転に要する人的コストの削減を狙う。
 AIで解析したフィードバックデータが入居者の好みや快適性といった人の感覚にまでコミットしていくことから、建物や空間全体が入居者に合わせてカスタマイズするいわば『AI学習によって成長する建築』の実現とも言えそうだ。
 実証のフィールドとなるのは、メルセデス・ベンツと共同でことし3月にオープンさせた、AIなど最先端技術を採用した体験施設「EQ House」。同社が設計・施工した施設は、入居者や環境情報をリアルタイムに把握するための環境センサー、人感センサー、ウェアラブルセンサーなど多様なIoTセンサーが配置されている。
 2年間の実証実験によって、このIoTセンサーから取得・収集したデータを「Archiphilia Engine」を介して処理。その成果を検証することで、AIを活用した空間制御システムの製品化を目指す。

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