【竹中工務店】疲労耐久性10倍・ブレース型制震ダンパーを開発 より効果的な地震対策を提案 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【竹中工務店】疲労耐久性10倍・ブレース型制震ダンパーを開発 より効果的な地震対策を提案

 竹中工務店は、物質・材料研究機構、淡路マテリアとの共同で制振ダンパーの素材として現在、一般的に使われている鋼材との比較で約10倍もの金属疲労に対する耐久性を持つ「Fe-Mn-Si系耐疲労合金」(特許登録済)を用いたブレース型の制振ダンパーを開発した。30日に開業する愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」に初めて適用した。

ブレース型制振ダンパーの取付状況と詳細(本開発)

 従来の鋼材に比べて、金属疲労に対する耐久性を約10倍まで高めた「Fe-Mn-Si系耐疲労合金」は、メインとなる鉄に高濃度のマンガンやケイ素などを添加して開発した画期的な素材だという。
 第1弾として、この素材を使ったせん断パネル型の制振ダンパーを2014年の「JPタワー名古屋」に適用しているが、より汎用性の高いブレース型ダンパーの開発が必要と判断。せん断パネル型の制振ダンパーの応用技術として継続して研究・開発に取り組んでいた。
 新たに開発したブレース型の制振ダンパーは、従来の製造方法に比べて、製造可能な圧延材の板幅、板厚、長さを拡大して大量に生産することを可能にした淡路マテリアの製造・製作技術と物質・材料研究機構が専用に開発した溶接ワイヤ(異材溶接用材料)の採用によって実現した。
 大型部材の大量生産と、心材であるFe-Mn-Si系耐疲労合金と構造躯体に力を伝える端部(異種金属)との安定した結合(溶接)技術の確立によって実用化した形となる。
 より汎用性の高いブレース型の制振ダンパーの開発によって対策メニューのバリエーションが増加。従来型の鋼材ダンパーと組み合わせて採用することで、一般建物から超高層建築物まで、事業の継続性や地震対策に関するユーザーのニーズに沿って、さまざまな空間プランに幅広く対応できるようになるという。
 同社は、優れた耐久性・靱性・耐腐食性を持つFe-Mn-Si系耐疲労合金の特性を生かしながら、建築分野を中心により効果的な地震対策を提案していく。

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