【地質調査業で屈指の規模】報国エンジニアリングが幅広く対応する企業に成長したワケとは | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【地質調査業で屈指の規模】報国エンジニアリングが幅広く対応する企業に成長したワケとは

 大阪府豊中市に本社を構える報国エンジニアリングは、関西中心に全国で地盤調査・地盤改良業を手がけ、約170人にのぼる社員数は、地質調査業では屈指の規模を誇る。これまで住宅地盤の改良をメインにしてきたが近年は非住宅の分野でも実績を増やすなど、時代の変化に即した新展開を模索している。同社の塚本英社長と執行晃技術部部長に同社の業務や今後の展開などについて聞いた。

塚本社長(右)と執行技術部長


 創業は1975年。塚本社長の父・洋之氏がボーリング調査業を開業したことに始まる。住宅ブームを背景に土地造成が急速に進む中、スウェーデン式サウンディングを始めとする地盤調査を中心に、地盤改良工事なども手がけるように。現在は地盤調査、地盤改良工事のほかに沈下修正、土壌汚染改良など地盤に関し幅広く対応する企業に成長した。

 塚本社長によると業務の8~9割を占めるのがハウスメーカーやビルダーからの依頼に基づく地盤調査・改良工事で「大手から地場まで幅広い企業の要請に対応している」。地盤調査業務に続き、必要があれば地盤改良工事も担当する。「スピーディーな対応と、長年の実績に基づく豊富なバックデータには自信がある。施工は大口径の杭を使わないで済む場合や、小型機械でも対応できる場合に、当社のような小回りが効く会社が重宝される。狭小地など難しい条件の施工も得意としている」とアピールする。

 かつては95年の阪神・淡路大震災、最近であれば11年の東日本大震災や16年の熊本地震など液状化被害がクローズアップされるたび、地盤調査や地盤改良の需要は増えた。「特に東日本大震災以降、地盤調査や地盤改良に対する理解は高まった。地盤改良に関する工法はいまや多種多様で選択肢が増えた一方で、状況に適した工法を選ぶことがこれまで以上に重要になってきている」と執行部長は説明する。

 少子高齢化や住宅着工の減少といった社会情勢の変化を背景に「物流施設など、非住宅分野の対応強化が課題だ」と塚本社長は指摘する。実際に19年度だけで約2万件弱の地盤調査と約5800件の地盤改良工事を手がけ、このうち3割近くを非住宅の分野が占めている。

 同社が手がける地盤改良工法の1つに「efコラム工法」がある。地盤をらせん状の大きな錐で回転・撹拌し、セメントミルクを錐の先端から噴射し混合、地盤を固めるソイルセメントコラム工法の一種で「従来工法と比べ、ソイルセメントコラムの撤去が容易で、撤去時も造成時と同規格の施工機械で対応できる」(塚本社長)と利点を強調する。

 「地盤調査は段取り替えが多く、高度な知識も求められる」(執行部長)だけに、人材育成には一定の時間が必要という。働き方改革が叫ばれる以前から、独自の人材活用策を展開してきた。同社が運営する社会人サッカークラブ「報国FC」は、かつて大阪府社会人サッカーの1部リーグに在籍したこともあり、選手の約3分の2は社員として働きながらプレーしている。「趣味と仕事の両立に加え、チームワーク力の醸成にもつながっている」(執行部長)。

19年度は約2万件の地盤調査を行う

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