【他省庁連携のシステム構築も】国土交通省の公共工事入札 申請書類簡素化への対応状況 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【他省庁連携のシステム構築も】国土交通省の公共工事入札 申請書類簡素化への対応状況

 国土交通省は、公共工事入札の申請書類簡素化について対応状況と今後の方針をまとめた。建設業許可・経営事項審査については、提出書類の削減により負担軽減を図っており、さらなる合理化に向けて2022年度からは他省庁のシステムと連携した電子申請システムの運用を開始する。競争入札参加資格審査は、自治体ごとに書式が異なることが課題となっていることから、標準書式を作成し、活用を促していく。

運用に向けたスケジュール


 公共工事の入札関係申請書の簡素化は、17年3月に策定された各省庁における主要な行政手続きコスト(事業者の作業時間)を20%削減するための基本計画に基づく取り組みの一環。6月30日に開かれた「中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループ」の中で検討状況を報告した。

 建設業許可は、ことし4月1日から許可申請・更新時に求めていた書類を簡素化した。許可申請時や決算変更届出時に提出が必要な書類のうち、国家資格者等・管理技術者一覧表について大臣許可、知事許可ともに削除。国交省による事業者への聞き取り調査によると、「国家資格者等・管理技術者一覧表」の提出を不要とすることで、申請にかかる業務量が3-4割程度軽減できるとしている。

 あわせて、営業所の地図と不動産登記簿謄本または不動産賃貸借契約書の写しなど営業所の権原を証明する書類の提出も不要とする。営業所の写真は、知事許可から大臣許可への許可換え新規や営業所の新設・移転の際には引き続き提出を求めるが、事務所に変更がない更新の場合は提出を求めない。

 支店長や営業所長に求めていた健康被保険者証カード(両面)の写しのほか、経営業務管理責任者、営業所専任技術者、支店長・営業所長の住民票や支店長・営業所長の委任状についても提出を不要とした。これらの書類の削減により、サンプル調査では提出書類の分量を約半分にできるとしている。

 経営事項審査の関連では、提出資料のうち、工事請負契約書の準備と技術職員名簿の作成に要する時間が多いといった実態を踏まえ、書類の簡素化を実施。従来、大臣許可業者には完工高上位10件分の工事請負計画書など写しの提出を求めていたが、19年度に上位5件に絞った。さらに20年度は上位3件とすることで、大幅な簡素化を実現する。技術名簿は、過去提出した資料の再提出を不要とする。

 建設業許可、経営事項審査は現在、書面で行われている建設業許可、経営事項審査の申請手続きについて、電子化や申請データの電子的な確認による方式の導入に向けたシステム構築を進めている。

 電子申請システムはオンライン上での申請が可能となることに加え、他省庁のシステムと連携することで、納税証明書や社会保険加入、登記事項証明書など個別の書類の取得・登録を不要とできる仕組みだ。

 各省庁のシステムが保有する各種書類の取得は申請者にとって大きな負担となっていることに加え、許可行政庁にとっても様式の異なる多様な書類の確認作業は事務負荷が高い。独立している各種システムを連携することで、申請者・許可行政庁ともに単一システム内で作業が完結し、事務負担の軽減が見込まれる。

 国の競争入札参加資格審査の申請書類は、19年度までに会計検査院、国立印刷局、情報通信研究機構の3機関で新たに統一様式への移行が完了。加えて、国立印刷局で求めていた追加書類を不要としたほか、11月以降は林野庁でも追加書類を不要とする予定だ。

 国の機関だけでなく、自治体の競争入札参加資格審査も申請書類の標準化を進めている。自治体間で書式・記入項目・添付書類が異なるため、事業者に過大なコスト・負担が生じているとの指摘を踏まえ、自治体の実務担当者と総務省、国交省で構成する検討チームを19年に設置した。

 自治体が使用する申請様式の記載項目について、都道府県・政令市を中心に実施した抽出調査の結果、国の標準様式とおおむね共通していることが確認できたことから、国の統一様式を可能な限り採用することを基本的な方針に「標準書式(案)」を作成。自治体に対して、システム更新時期にあわせて、反映するよう要請していく。

バックヤード連携のイメージ

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