【"歴史"と"未来"具現化】熊谷組が福井本店を建て替え 「木造建築+ZEB化」で最新技術実証 | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

公式ブログ

【”歴史”と”未来”具現化】熊谷組が福井本店を建て替え 「木造建築+ZEB化」で最新技術実証

 熊谷組は、創業の地である福井本店の建て替え工事に着手する。同社が力を入れる中高層木造建築の普及や省エネルギー化への市場ニーズに対応する「木造建築+ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化」が最大の特徴。最新技術の実証と今後の市場への展開を視野に入れた同社にとっての先導モデルとなる。同社の技術をつぎ込んだ環境配慮型の木造建築としても注目を集めることになりそうだ。

事務室内観イメージ


 旧本店の跡地(福井市中央2-6-8)に整備する新本店ビルへの建て替えプロジェクトは、創業者である熊谷三太郎氏が初めて請け負った宿布発電所の跡地整備事業と一体になって実施される創業120周年を記念する“ルーツ整備事業”の一環となる。

 「熊谷組の『歴史』と『未来』を具現化する起業の地に相応しい建物」をコンセプトとしているように、同社が力を入れている木造建築(S造と木造のハイブリッド構造)を採用。環境負荷の低減やワーカーの生産性を高めるオフィス空間としての快適性を兼ね備えた「木造建築+ZEB化」による都市型コンパクトオフィスの実現を目指す。

 実際に同社が独自に開発した木質耐火部材「断熱耐火λ-WOOD(ラムダウッド)」を初めて適用する。2-4階の木造部分は大断面集成材による柱・梁、CLT耐震壁を併用して今後の市場ニーズを想定した8mのロングスパンに対応していくという。

 外皮性能の高断熱化や高効率空気熱源ヒートポンプ、潜顕熱分離空調、床吹出放射空調、タスク&アンビエント照明の導入など最新の省エネルギー技術を駆使。太陽光発電(ライトスルー型両面発電タイプ)の設置など徹底した取り組みによって、立地・建物形状的にも難しいとされる小規模ビルでの「Nearly ZEB」の達成に挑む。

 社員の休憩・打ち合わせスペースを充実させるなど「ABW(Activity Based Working)」の考え方も導入。オフィス空間としての快適性を重視したスマートウェルネスオフィスとすることで、社員の健康と知的生産性の向上を狙う。

 建築物の環境性能を評価する「CASBEE(建築環境総合評価システム)のSランク」や「米国グリーンビルディング評議会による格付けシステム(LEED)のゴールド」といった認証の取得も想定。環境配慮型の木造建築としてのブランディングにも力を入れることで、今後の中高層木造建築の展開にも弾みをつけていく方針だ。

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら