【災害などへの事前の備え】大林組・トヨタ自動車・デンヨー 電源供給システムで実証実験 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

公式ブログ

【災害などへの事前の備え】大林組・トヨタ自動車・デンヨー 電源供給システムで実証実験

 大林組、トヨタ自動車、デンヨーの3社は19日、名古屋市の大林組名古屋支店の建物、敷地内で「大林組V2B(Vehicle to Building)電源供給システム実証試験」を実施した。今回の実験は停電の長期化で追加の電力が必要になった場合を想定。建物の1、2階部分に燃料電池電源車「FC電源車」などによる外部からの給電を試した。

外部からの電気供給に成功


 外部電源として使用したのは、環境省のCO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業の一環としてデンヨー、トヨタ自動車が共同開発したFC電源車。水素貯蔵量は約65㎏。定格電圧は100ボルト、200ボルト。相数は三相4線・単相3線。周波数は50、60ヘルツに対応。連続発電時間は約72時間ある。最大約450リットルの水を生成できる。

 このほかにも、同支店が保有するトヨタ自動車の燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」での給電も実施し、いずれも成功した。

 FC電源車を開発したデンヨーの川畑健太郎研究開発部第二課長は「ことし5月に完成したばかり。自然災害が頻発・激甚化する中、避難所などにいち早く電気を届けるため、実用化を検討している。今後もイベント会場などで試験を続け、量産化したい」と語った。

 トヨタ自動車の大田育生新事業企画部エネルギー事業室主査、中路宏弥トヨタZEVファクトリーFC製品開発部主幹は「環境負荷の低減などを目的に、水素を活用した車を開発している。今回の車両は『ダイナ』をベースとし、約1年半で完成した。水素を扱う車なので、特に安全対策に気を配った」という。

 大林組名古屋支店の金子和男設備設計部担当部長は「建物は非常用発電設備を設置するなどのBCP(事業継続計画)対策を実施済み。南海トラフ巨大地震の発生が懸念される中、事前の備えが求められている。今回の実証試験でさらなる対策が可能であるとわかった」と述べた。

FC電源車を紹介する川畑課長

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら