【ゲームエンジン搭載】BIMソフト『FUZOR』のレッドスタックと清水建設がカンパニー契約 | 建設通信新聞Digital

4月19日 金曜日

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【ゲームエンジン搭載】BIMソフト『FUZOR』のレッドスタックと清水建設がカンパニー契約

複数の関係者が同じBIMモデル内で検討している様子

 BIMデザインソフトウェア『FUZOR』を提供するレッドスタックジャパン(川崎市、油谷勝社長)は、清水建設と同社の子会社を含めてカンパニー契約を締結した。大規模3次元モデルデータの高画質化と超高速処理を可能にする“ゲームエンジン”を搭載したFUZORを国内で大規模展開する初めての事例になる。
 BIMへの転用が進むゲームエンジンは、超高速リアルタイムレンダリングを可能にするのが特徴で、データ量が大規模化するほど処理速度が遅くなるBIMの課題を克服するツールとして注目されている。FUZORは独自開発のゲームエンジンでBIMモデルを高画質で表現し、データ更新や変換を超高速で処理することが可能だ。
 こうした機能に注目し、清水建設は「国内外の大型開発案件で大規模3次元モデルデータを扱う際に、データの授受や共有データコラボレーションの作業で有効なソリューションになる」と判断した。今後は企画、設計、施工の各プロセスでBIMの利用環境を向上し、大幅な工期短縮やコスト削減に取り組む意向を示している。
 子会社のピーディーシステム(東京都中央区)を窓口として導入を進める。清水建設と関連会社から使用許可を受けた職員は、FUZORに自由にアクセスし、作成した3次元モデルの高速処理などに活用できる。今後は協力会社や工事関係者への導入拡大も視野に入れているという。
 レッドスタックジャパンはシンガポールに本社を置き、2014年に日本法人を設立して3年。FUZORを採用する企業が増えつつある中、日本の大手ゼネコンと大型契約を結ぶのは清水建設が初めて。日本の建設生産プロセスで求められる最新機能を追加していく方針だ。
 FUZORは、BIMプロジェクトで使用される多種多様なソフトウェアや3次元データの統合ツールとしても優れ、BIMによる協業を促すプラットフォームとしても期待される。具体的には『Revit』『ArchiCAD』などのBIMソフト、GIS(地理情報システム)や点群などのデータを読み込み、FUZORデータに再現して活用する。

ゼンリンの3D都市モデルにRevitモデルを配置

 また、通常なら半日や1日がかりのファイル変換・更新をわずかな時間で実現するとともに、FUZOR上の修正内容をオリジナルモデルに反映させる双方向連携も強みだ。VR(仮想現実)や多種多様な関係者が同時に3Dモデルを共有して行うワークシェアリング機能で関係者の協業を促するほか、時間軸を加えた4D機能による施工管理の効率化にも貢献する。
 次期バージョン『FUZOR2018』ではMR(ミックスドリアリティ)デバイスとして多くの業種から期待されているMicrosoft社のHoloLens(ホロレンズ)に対応する予定だ。
 今回のカンパニー契約を受け、レッドスタックグローバルのジャプリ・マーミングCEO(最高経営責任者)は「日本企業は今後、国内だけでなくグローバルな地域で事業を展開することが求められている。その中でBIMはますます重要なツールになるだろう。3次元モデルデータをより円滑に活用できるようにするため、当社はグループを挙げて清水建設と関係会社をサポートしていく」と意気込む。
 FUZORの開発元となるKALLOCTECH社(米国)のヘンリー・ユーCEOは「日本のトップ企業である清水建設とカンパニー契約を締結できてうれしい。連携を深め、すべての技術者が簡単に便利に使用できるようなBIMの活用法を提供していきたい」とコメントしている。
 FUZORは、オートデスクの『Revit』のプラグインとして開発され、3次元ゲームエンジンをいち早く取り入れることで普及が進んだ。米国では600社を超えるユーザーに利用されている。

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