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【構造部材に「やわらかい木」】独創的な意匠、未利用材活用/大成建設

やわらかい木


 大成建設は、柔らかく自在に曲げ・ねじることができる木質材料「やわらかい木」を使った木質網代(あじろ)構法「T-WOOD Goo-nyaize」を開発した。格子状に編み込んだ独創的なデザインを持つ壁を構築し、建物の構造部材としての使用を可能にした。木造化や内装木質化を図る技術として積極提案する。この取り組みにより、これまで未利用であった柔らかい木材の利用促進と価値向上にも貢献する。

T-WOOD Goo-nyaizeによる木造パーゴラ


 構成部材の「やわらかい木」は、木製薄板の間にシート状の粘着剤を挟んで貼り合わせた素材を積層して形成した木質材料。2008年に東大の足立幸司特任助教(現秋田県立大教授)が開発した。変形性能が高く、グニャッとした触感から従来にない独特の意匠性を持つ。

 他方、材料の持つ柔らかさから、自重や人力で容易に変形してしまうため、形状を維持したまま自立させるのが難しいという特性があり、構造部材として利用するには課題があった。

 開発構法は、一定間隔で連立する木製柱に、帯状の「やわらかい木」を左右から編み込む。格子状に編み込んだ網代模様の面構造部材として壁や屋根などを構築する。

 「やわらかい木」の曲率は原材料が針葉樹の場合で10倍、広葉樹の場合で40倍程度あるため、容易に凹凸をつけて滑らかな曲面を持つ立体感のある特徴的な意匠の壁や屋根などを構成し、これまでにない木質空間を創出できる。形状や配置などを変えることで採光量を調整でき、外部からの視線も程よく遮れる。部材に触れることで、その柔らかさを直接感じることもできる。

 同構法は、直線部分を散在させて柱にビス留めし、柱の角部で曲面となる部分は曲げられた「やわらかい木」を柱にはめ合わせることで形状を維持すると同時に耐震性を付加した。地震や風の揺れに対する耐力を載荷実験した結果、従来の耐震壁と同等の性能があり、耐震構造部材として活用できることも確認した。

 森林伐採時に一定の割合で発生する密度の低い柔らかい木材は、製材後の強度が低いため構造部材としての利用はほとんどない。「やわらかい木」の構造部材への適用で密度の低い木材の有効活用も期待できる。

 

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