三菱地所設計は、3Dプリンターで木粉を材料にパーツをつくり、さまざまな空間を設計・施工する生産技術「リジェネラティブ・ウッド」で茶室空間を構築した=写真。各部材の接合部には日本の伝統的な継ぎ手技術を活用。試作品は、インド・中東地域での事業拡大を見据え、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで5日から開催される「Dubai Design Week2024」で初披露する。
同作品はリジェネラティブ・ウッドを使った第3弾の取り組み。作品タイトルは「ザ・ワープ」。形が違う約900枚の3Dプリントパネルで構成され、材料には木材加工時に発生する木の粉を再利用している。
設計では、3Dプリント技術をベースに、くぎや金具を使わない木工継ぎ手技術を取り入れた。新・旧技術を組み合わせ、日本の伝統文化である茶道を通じ、静かな時間の流れへ誘うというコンセプトだ。現地会場には日本庭園も造営する。来場者は庭を通ると、ねじれた曲線が広がる木質の空間に包まれる。
輸送時のCO2排出削減を狙い、原料には現場付近の木粉を活用。一つひとつの部材は手に持てるほどの大きさで、一般の物流に乗せて現場へ納品する。部材は現地スタッフが少人数で簡単に組み立て・解体できる。生産フロー全体で環境に配慮し、現場の省力化に貢献する。
三菱地所設計は2007年、中国・上海市への現地法人開設を起点に海外事業をスタートした。現在はシンガポールにも子会社を設立しており、中国・台湾・東南アジア地域を中心に事業展開を進めている。同社の「Dubai Design Week」出展は今回で2回目となる。