【木の良さを生かす】独自特殊加工で「マイスターズ・ウッド」生産に力を! パナソニック・エコソリューションズ群馬工場 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【木の良さを生かす】独自特殊加工で「マイスターズ・ウッド」生産に力を! パナソニック・エコソリューションズ群馬工場

 パナソニック・エコソリューションズ社は、2017年に750億円だった建築システムビジネスユニットの売上高を、25年に1000億円とする目標を掲げた。そのうち、18年から床材部門に投入する、特殊な加工を施した「マイスターズ・ウッド」木材を使用した新商品は、20年に115億円の売り上げを目指す。木材マイスターズ・ウッドの生産は、群馬県沼田市にある内装建材の群馬工場が担う。
 群馬工場は、1965年に床材の生産を始めた。現在は150人ほどの従業員が、木質床材・木質内装材・木質床暖房あわせて、1カ月当たり190万㎡を生産している。

群馬工場外観

 マイスターズ・ウッドの特徴は、木目と木材の「照り」を引き出した上に太陽光への耐久性も上げる特殊な水熱処理と、高耐傷・高耐汚染性・アレル物質抑制などの機能を加える塗装の2つがある。それぞれ、同社で群馬工場のみが持つ技術を活用している。
 水熱処理は「木質エイジング技術」と呼ばれる。サーモウッドなどに代表される一般的な木材熱処理は、乾式で行われるのに対し、「木質エイジング技術」は湿式を採用している。
 水熱処理の効果は、原木の木目と照りを原木以上に際立たせることにある。この処理を経ると、原木に比べて表現できる色領域(色相・明度の幅)が広がり、その結果として木目が際立つようになる。さらに、照明入射方向を零度と90度で比べたときの明度相関係数(照り)が原木に比べて約2倍となる。マイスターズ・ウッドは、これらの効果がもっとも生きる木材として、他社でよく使われているチェリー材ではなく、バーチ材を使用する。
 塗装にも、群馬工場の技術が活用されている。マイスターズ・ウッドを含むアーキスペックシリーズは、高耐傷・高耐汚染性や、ダニの死骸・花粉などのアレル物質を抑制する機能を有しており、これは群馬工場のフローコート加工技術による。
 フローコート加工とは、床材のシートをコーティングする際に下塗り・中塗り・上塗りと塗料を重ねていく過程のこと。群馬工場では、シートや突き板に塗料の滝をくぐらせて、表面のコートを60-80マイクロmまで厚くし、さらに溝まですき間なく塗料をコーティングする。これにより、溝に汚れがついても拭き取りやすく、車いすのブレーキ跡や引っ掻きなどの傷が残りにくくなる高い性能を実現した。
 倉本知典ハウジングシステム事業部建築システムビジネスユニット長は、マイスターズ・ウッドについて「木の良さを生かす当社のオリジナル性のある技術であり、他社製品との差別化、顧客の満足度を高めることに力を発揮している」と語る。
 そのほか群馬工場は、ラインの中でセンサーによる全数計測を行う品質安定化技術や、ライン監視システムなどの自動化技術が投入されており、質と生産速度を確保している。一方で千吉良隆之工場長は「ヘリンボーンなど突き板のパーケット(木組み)配列や五感を駆使した検品など、熟練した作業員の技術を必要とする工程も残る」と語る。

目視など五感を駆使した検品工程

千吉良工場長


 群馬工場の担う役割は、生産だけではない。同工場内のテクニカルプラザは、プロユーザー向け「機能体験型ショールーム」として全面改装された。
 ここでは「木質エイジング技術」の表現やフローコート加工の効果を、床材57柄の大面積展示やマイクロスコープによる観察、他社製品との比較実験を実際に行う。群馬工場は、商品アピール・商談の場としての役割も持っている。

テクニカルプラザの「木質エイジング 技術」展示

 床材商品の質・安定した生産体制・宣伝の場を確保する群馬工場は、売り上げ1000億円を目指す上で核となる重要拠点といえる。

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