【ベントレーカンファレンス'17〈上〉】デジタル化は不可避 最優秀賞も「自動化」の先進事例 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【ベントレーカンファレンス’17〈上〉】デジタル化は不可避 最優秀賞も「自動化」の先進事例

あいさつするベントレーCEOのグレッグ・ベントレー氏

 「いまや『going digital(デジタル化)』は不可避の状況だ」--。米国CAD大手ベントレー・システムズのCEO(最高経営責任者)を務めるグレッグ・ベントレー氏は繰り返しそう強調した。建設作業員の高齢化が進み人手が不足する中で、プロジェクトをどう適切に完遂するかは世界各地で共通の悩みとなっている。どう作業を効率化し、コストを抑え、運営や維持管理へとつなげていくのか。BIMを活用した先進事例への関心は世界中で高まり続けている。
 建築申請をBIMで提出することを義務化し、建設プロジェクトでのICT活用が本格化したシンガポールでベントレーシステムズはBIMの先進事例を表彰する「ザ・イヤー・イン・インフラストラクチャー2017カンファレンス」を開いた。世界52カ国で同社の製品を使用した400件以上のプロジェクトから選ばれたファイナリストが参加し、10日から12日にかけて建築・道路・橋梁など各分野で最も優れたプロジェクトを決定した。
 参加者に共通するのは「自動化」への高い関心だ。情報を共有することで、測量技師やエンジニア、施工者が担ってきた作業を融合し、手間とコストが最適化することを期待する利用者は多い。ファイナリストのうち最優秀賞に選ばれたプロジェクトも、企画、設計から施工、運営に至るすべての局面が連続するプロジェクトが選ばれた。
 こうした声に応えるため、会期中にはトプコンと共同でBIM活用の助力となるトレーニング・プログラム「コンストラクショニアリング・アカデミー」を開始することを発表した。トプコンがドローンや測量機器、ベントレー・システムズがデータ管理・共有で培ってきたノウハウを生かして「新しい生産システムに対応できる人材育成とプロセスの構築」を促進する方針だ。
 トプコンとの連携を推進してきたベントレー・システムズ上席副社長のテッド・ランボー氏は、十分に「デジタル化」した建設プロジェクトは従来とは異なる概念で生産手法をマネジメントする必要があると強調する。アカデミーでは「技術的な支援ではなく、3次元モデルの活用から生じる新しい施工プロセスの概念や価値を伝えたい」と意気込む。

世界中から参加したファイナリスト

 新たな生産システムを導入するには技術的な進歩だけでなく、その国で働く人々の意識から変えていくことが不可欠だ。BIMという技術が生産性向上に貢献することが多くの国々で共有されるようになったいま、ベントレー・システムズは「教育」によって新たな生産システムを支える価値観を創出しようとしている。数カ月後には、インドのプーナ、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイ、中国の北京でアカデミーを実施する予定だ。

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