PCa工法の活用拡大へ/日建連/全整備局でマニュアル整備要望 | 建設通信新聞Digital

5月9日 金曜日

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PCa工法の活用拡大へ/日建連/全整備局でマニュアル整備要望

構造物ごとのプレキャスト工法の採用率(体積比)
 労働集約型産業の建設業において、少子高齢化に伴う労働力人口減少への対応が喫緊の課題となる中、日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、工期短縮や安全性向上のみならず、省人化にも大きな効果があるプレキャスト(PCa)工法の活用拡大を国土交通省に訴える。対象構造物を規格化・標準化した上での設計段階からのPCa工法採用や、VFM(バリュー・フォー・マネー)の考え方を取り入れた選定マニュアルの全地方整備局での整備などを要望する。
 日建連が2024年11月に実施した土木工事に関する会員企業アンケートによると、PCa工法を適用可能な構造物が含まれる直轄(道路・河川)工事224現場のうち、設計段階から採用したのは19%だった。
 施工段階からの採用では、設計変更(発注者負担)は7%にとどまり、施工承認(受注者負担)が12%となった。また、4%は提案したが不採用となり、その理由の多くはコストだった。
 主要コンクリート構造物では依然としてPCaの採用が進んでおらず、特に直轄道路・河川は、直轄港湾・空港などに比べて大幅に少ない。ボックスカルバートのPCa化は、港湾・空港が32%に対し、道路・河川は8%。L型擁壁は、機構・事業団が89%、港湾・空港が60%、高速道路会社が33%と進展しているが、道路・河川は8%にとどまっている。
 日建連は、ハーフプレキャストやサイトプレキャストを含むPCa工法のさらなる活用拡大に向け、コスト以外に、省人化や施工性、維持管理面などを評価基準とするVFMに基づくマニュアルの各地方整備局完備を求める。
 PCaの選定マニュアルは、北陸が16年度、近畿が22年度、中国が24年度に整備・運用している。先行する北陸整備局は、施工段階採用の全てが設計変更扱いとなるなど、発注者側の理解が進んでいる。
 日建連は25年度、これまで土木運営会議直下にあったプレキャスト推進検討プロジェクトチームを移設、発展する形で、土木本部公共生産委員会の下に「プレキャスト推進部会」を新設した。部会活動を中心に、PCa工法の活用拡大に取り組む。