連載・阪神高速湾岸西伸部のいま〈1〉 | 建設通信新聞Digital

6月23日 月曜日

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連載・阪神高速湾岸西伸部のいま〈1〉

大阪湾岸道路西伸部の路線図
六甲アイランド東工区の橋梁
鋼管杭の打設が進む現場
【事業概要と六アイ東工区】
【神戸の新たなランドマーク】
 関西有数の港町として知られる神戸市。神戸港は大阪港とともに国際コンテナ戦略港湾に指定されており、物流や経済の重要な拠点だ。現在、神戸港では六甲アイランドからポートアイランド、和田岬を通る大阪湾岸道路西伸部(六甲アイランド北~駒栄)の整備が進められており、少しずつ構造物の形も見えてきた。事業の全体像や阪神高速道路会社が整備する現場を全6回にわたり、紹介する。【六アイ東と駒栄で工事進む】
 同事業の路線は、神戸市東灘区向洋町東~長田区西尻池町間をつなぐ14.5㎞。5号湾岸線の終点となっている六甲アイランド北から31号神戸山手線に接続する駒栄ランプ(仮称)までの自動車専用道路を建設する事業だ。
 阪神高速と近畿地方整備局の合併施行方式で事業を進めており、同社は六甲アイランド東工区と六甲アイランドとポートアイランドをつなぐ新港・灘浜航路に架かる海上長大橋、ポートアイランドと和田岬間の神戸西航路に架かる海上長大橋、そして南駒栄以西の工事を担当している。現在、六甲アイランド東工区と駒栄工区は着工しており、新港・灘浜航路部の長大橋は詳細設計中だ。
 このうち、六甲アイランド東工区では、基礎・コンクリート橋脚の工事で、大成建設が施工する「六甲アイランド東工区下部工事」と、鋼桁・鋼製橋脚などの工事で、カナデビア・JFEエンジニアリング・日本ファブテック・川田工業JVが施工する「六甲アイランド東工区鋼桁及び鋼製橋脚その他工事」の2件が進んでいる。
【新港・灘浜航路部は設計中】
 六甲アイランド東工区は、既存の湾岸線と近畿地方整備局が施工する陸上部橋梁との間に架かる橋梁工事が進められている。曲線を描きながら、途中、六甲アイランド北入路と六甲大橋オンランプ、「六甲ライナー」の橋梁をまたぎ、最終的に臨港道路の中央分離帯に沿う線形となる。
 橋梁は東行きが654m、西行きが671mとなる。上部工の形式は鋼8径間連続合成細幅箱桁、下部工は鋼製橋脚が7基、鋼コンクリート複合橋脚が1基、基礎工は鋼管矢板基礎が5基、ニューマチックケーソン基礎が1基、鋼管杭が3基整備される。耐災害性や維持管理性などの観点から上下部工の接合は、支障構造ではなく、溶接により剛結される上下部剛結構造を採用した。溶接による上下部剛結構造としては阪神高速でも最大規模の橋梁となる。
 既設構造物に囲まれ、臨港道路も通っているため、交通規制も簡単にはできない制約条件の多い現場だ。関係機関との協議や上下部剛結構造の採用に伴うミリ単位の正確な施工が求められるため、2工事を担当する受発注者は一丸となって課題に対応している。