設計変更の円滑化要望/土木工事 会員アンケート/日建連 | 建設通信新聞Digital

5月9日 金曜日

団体

設計変更の円滑化要望/土木工事 会員アンケート/日建連

【決裁に3ヵ月以上3割/金利上昇で立替負担増】
 日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、近年の金利上昇に伴い立て替え金の負担が増大している点も踏まえ、設計変更協議の円滑化を国土交通省をはじめとする発注機関に要望する。金利上昇に関しては、出来形払いや中間前払いの実施に必要な変更契約をなるべく早く確定させ、資金繰りをよくするのが狙い。 日建連が2024年11月に実施した土木工事に関する会員企業アンケートによると、設計変更が生じた直轄(道路・河川)82現場のうち、約3割の現場は決裁までに3カ月以上の期間を要した。地方整備局別に見ると、東北、北陸、中国、沖縄は3カ月以上が5割を占めた。
 また、現場着手前に受発注者間で、協議資料作成の役割分担を明確にする会議が開かれた割合は4割にとどまった。会議の開催状況は、整備局ごとに大きなばらつきがあり、北海道、関東、四国、沖縄は開催実績が比較的豊富だが、このほかは7、8割程度が未開催となっている。
 さらに、設計変更審査会に、設計変更の決定権限を持つ副所長らが出席したかを聞いたところ、毎回参加は約5割だった。設計変更の可否が毎回の会議で確定した割合は3割強となっている。
 このような状況を踏まえ、日建連は、設計変更ガイドラインや工事一時中止ガイドラインに基づき、受注者の責めによらない条件変更に対して、適時適切な契約変更を現場レベルで徹底するよう訴える。特に工期延長ができず、実質的に工期短縮を求める場合は、急速施工に要する大型機械やプレキャスト工法の導入費用などを増額するよう働き掛ける。
 金利上昇で受注者による立て替え金の負担が増大している点を指摘し、設計変更協議の長期化防止も呼び掛ける。設計変更審査会への決定権者の参加徹底を引き続き要請。資料作成などの役割分担を明確化した上で、発注者に代わって受注者が資料作成や検討業務を行う場合には、発注者サイドからの適切な費用負担を求める。
 このほか、国交省に比べて、高速道路会社や防衛省、民間土木工事発注者などはスライド条項の適用率が依然として低いとし、物価上昇を反映した価格転嫁の浸透に向けた取り組みを呼び掛ける。