日建連調査/土日閉所・直轄は約8割に到達/他発注機関も改善加速 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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日建連調査/土日閉所・直轄は約8割に到達/他発注機関も改善加速

現場閉所実績
 担い手の確保・定着や時間外労働上限規制の順守に不可欠な土日閉所が、さまざまな発注機関で拡大している。日本建設業連合会(宮本洋一会長)が実施した土木工事に関する会員企業アンケートによると、全発注機関の計1486現場のうち、6割以上の現場で土日閉所を基本とする4週8閉所以上を達成した。国土交通省直轄は8割に迫ったほか、高速道路会社や地方自治体、民間鉄道会社、電力会社などでも広がりのいきおいが増している。 日建連は2024年11、12月にかけて、公共積算委員会などに参画する計58社を対象にアンケートを行った。23年10月から24年9月末までに竣工または施工中の3億円以上の土木工事を集計対象とし、計1740現場から有効回答を得た。
 この中の現場閉所に関する調査結果によると、全発注機関における4週8閉所以上の割合は61%となり、前年度より11ポイント上昇した。
 もともと実施率は高いが、国交省直轄は道路・河川、港湾・空港ともに78%と8割近くに達した。地方整備局別に見ると、東北、中国、四国は9割、九州、沖縄は8割を超えている。
 24年4月から時間外労働の上限規制がスタートした中で、注目すべきは国交省以外の発注機関だ。アンケート対象には、規制適用前後の工事が混在しているものの、全ての発注機関で急速な改善傾向が現れてきている。
 4週8閉所以上の割合は、高速道路会社、防衛省が各63%、地方自治体が61%で、いずれも前年度より16ポイント上昇した。農林水産省は13ポイント上昇して72%と7割を超えた。機構・事業団は37%と低水準なものの、15ポイントの改善が見られた。これまで取り組みの遅れが指摘されてきた民間工事だが、電力会社は一気に23ポイントも改善し、41%となった。民間鉄道会社も8ポイント上昇して44%となっている。
 例えば、NEXCO3社は24年3月に、働き方改革などに関する日建連との実務者会議の検討成果の一つとして、工期全体で4週8休を確保する週休2日工事の完全実施を打ち出しており、今後もさらに改善が進むと期待される。
 国交省は25年度から、完全週休2日(土日)の補正係数を新設するなど、さらなるてこ入れを図っている。一方、完全週休2日が拡大する中で、天候などに左右される建設現場ならではの課題も浮上してきている。
 日建連会員からは「従来の通期・月単位の週休2日では、悪天候などで平日が休工になった場合、作業を土日に振り替えてリカバリーできたが、土日閉所ではそれができず、現場稼働率が低下して工期が延びる」「連続作業が土日にかかる場合、作業を翌週に延期することになる」「土曜にかかる金曜夜間工事ができないとなると、夜間作業の可能日は週4日(月-木)に限定される」といった声が上がっている。日建連は同じ工事数量でも、完全週休2日制によって作業に要する日数が増えるケースがあるため、余裕を持った工期設定が必要になると訴えている。
 日建連は今後も全ての発注機関に対し、既契約を含む全工事への完全週休2日の原則導入を働き掛ける。また、自然災害などで完全週休2日の実施が難しくなった工事については、施工途中で交代制に切り替え可能となる仕組みを導入するとともに、技術者の増員や建機の大型化、プレキャストの採用といった生産性向上策に要する費用を、設計変更によって発注者が適切に負担するよう要望していく。