【幸せに楽しく働ける会社】
ジョンソンコントロールズの社長に松下太郎氏が就いて3カ月余り。数々の企業経営に携わってきた松下社長だが、「建設業界は初めて」という。業界に対しては「人手不足というタフな課題を抱える中で、業界が一体で対処していこうという雰囲気を強く感じている」と語り、その課題の対応策や企業の成長に向けて、従業員エンゲージメント向上の必要性を強調する。今後どのようなかじを取っていくのか、松下社長に聞いた。--抱負を
「グローバル展開するジョンソンコントロールズインターナショナル本体や、世界に三つある本社の一つ、アジア太平洋地域(APAC)本社などと同様、日本法人である当社もトップダウンカルチャーが存在する。その良さを生かしつつ、私がこれまでの経験で得た“ボトムアップ”の良さもミックスしながら経営に臨むことで、ビジネスを拡大していく」
「仕事をしてもらうのは社員の皆さん。その人たちがどれだけ幸せに楽しく仕事できるかによってやりがいや成果も変わる。目標を達成するにしても、苦しみながらよりは楽しんだ方が達成度合いが120%になる可能性もある。会社にもっといたいと思われるような、あるいは自分の知り合いを会社に引き込んで一緒に働きたいと思われるような雰囲気を築き、従業員エンゲージメントをさらに向上させたい。それが人材確保にもつながるはずだ」
--事業環境の認識を
「プラス・マイナス両方がある。世間ではプロジェクトの遅延や長期間化などが顕在化し、それが売上高に影響している。こうした中で商業施設など工期の長い案件だけでなく、短工期のデータセンターや半導体工場など産業系を増やし、そのバランスを考えながら受注していく」
--一番の課題は
「大切なリソースの一つである“人”だ。人の採用、会社に残ってもらう、仕事の効率向上という三つで対応したい。具体的には当社の認知度を上げるための情報発信、会社のイメージアップや風通しの良い社風づくり、待遇や福利厚生の改善に取り組む。タウンホールミーティングを通じて、社員に気軽に話しかけてもらえるような関係性も築く。距離感が近くなればボトムアップによる意思決定もしやすくなる。効率性を上げるために、限られたリソースをうまく使って多くの事業に対応できる組織改革や、協力会社の作業性を上げるユニット化などを考える」
--力を入れる領域は
「カーボンニュートラル(CN)社会への貢献に力を入れたい。建物は空調をたくさん使うためエネルギーマネジメントが大切だ。その効率を上げるための制御は当社が一番コアとするところ。ただ、社会が求める新たな価値をつくって提供するには、1社でできないこともある。CNニーズに迅速に応えられるよう、さまざまな分野の企業と連携しながらCNへの対応を加速化していく」
* *
(まつした・たろう)1995年3月慶大法学部卒、米国パデュー大MBA(経営学修士)取得。2025年2月ジョンソンコントロールズに入社し取締役。直近まではベーカーヒューズ社の日本統括代表と傘下の日本ベーカーヒューズ、ベーカーヒューズ・エナジージャパン、日本ドレッサーの代表取締役を兼務。以前はアクセンチュアやゼネラル・エレクトリック社などでシニアリーダー職を歴任した。趣味はオークだるでのウイスキー熟成やみそ造り。東京都出身。72年11月17日生まれ、52歳。
◆記者の目
略歴だけを見れば優れたキャリアといっても過言ではない。しかし、決して順調な道のりではなかったという。約2年でビジネスを3倍に拡大させながらも、社員とのコミュニケーションで自身の対応を大きく変えざるを得ない経験も。そうした経験から学び、自らの考えや姿勢を大転換できる柔軟さと、的確に課題を捉えて行動する実行力は、さらなる業績拡大はもちろん、果たそうとする従業員エンゲージメント向上の実現に必ずや生かされるだろう。
ジョンソンコントロールズの社長に松下太郎氏が就いて3カ月余り。数々の企業経営に携わってきた松下社長だが、「建設業界は初めて」という。業界に対しては「人手不足というタフな課題を抱える中で、業界が一体で対処していこうという雰囲気を強く感じている」と語り、その課題の対応策や企業の成長に向けて、従業員エンゲージメント向上の必要性を強調する。今後どのようなかじを取っていくのか、松下社長に聞いた。--抱負を
「グローバル展開するジョンソンコントロールズインターナショナル本体や、世界に三つある本社の一つ、アジア太平洋地域(APAC)本社などと同様、日本法人である当社もトップダウンカルチャーが存在する。その良さを生かしつつ、私がこれまでの経験で得た“ボトムアップ”の良さもミックスしながら経営に臨むことで、ビジネスを拡大していく」
「仕事をしてもらうのは社員の皆さん。その人たちがどれだけ幸せに楽しく仕事できるかによってやりがいや成果も変わる。目標を達成するにしても、苦しみながらよりは楽しんだ方が達成度合いが120%になる可能性もある。会社にもっといたいと思われるような、あるいは自分の知り合いを会社に引き込んで一緒に働きたいと思われるような雰囲気を築き、従業員エンゲージメントをさらに向上させたい。それが人材確保にもつながるはずだ」
--事業環境の認識を
「プラス・マイナス両方がある。世間ではプロジェクトの遅延や長期間化などが顕在化し、それが売上高に影響している。こうした中で商業施設など工期の長い案件だけでなく、短工期のデータセンターや半導体工場など産業系を増やし、そのバランスを考えながら受注していく」
--一番の課題は
「大切なリソースの一つである“人”だ。人の採用、会社に残ってもらう、仕事の効率向上という三つで対応したい。具体的には当社の認知度を上げるための情報発信、会社のイメージアップや風通しの良い社風づくり、待遇や福利厚生の改善に取り組む。タウンホールミーティングを通じて、社員に気軽に話しかけてもらえるような関係性も築く。距離感が近くなればボトムアップによる意思決定もしやすくなる。効率性を上げるために、限られたリソースをうまく使って多くの事業に対応できる組織改革や、協力会社の作業性を上げるユニット化などを考える」
--力を入れる領域は
「カーボンニュートラル(CN)社会への貢献に力を入れたい。建物は空調をたくさん使うためエネルギーマネジメントが大切だ。その効率を上げるための制御は当社が一番コアとするところ。ただ、社会が求める新たな価値をつくって提供するには、1社でできないこともある。CNニーズに迅速に応えられるよう、さまざまな分野の企業と連携しながらCNへの対応を加速化していく」
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(まつした・たろう)1995年3月慶大法学部卒、米国パデュー大MBA(経営学修士)取得。2025年2月ジョンソンコントロールズに入社し取締役。直近まではベーカーヒューズ社の日本統括代表と傘下の日本ベーカーヒューズ、ベーカーヒューズ・エナジージャパン、日本ドレッサーの代表取締役を兼務。以前はアクセンチュアやゼネラル・エレクトリック社などでシニアリーダー職を歴任した。趣味はオークだるでのウイスキー熟成やみそ造り。東京都出身。72年11月17日生まれ、52歳。
◆記者の目
略歴だけを見れば優れたキャリアといっても過言ではない。しかし、決して順調な道のりではなかったという。約2年でビジネスを3倍に拡大させながらも、社員とのコミュニケーションで自身の対応を大きく変えざるを得ない経験も。そうした経験から学び、自らの考えや姿勢を大転換できる柔軟さと、的確に課題を捉えて行動する実行力は、さらなる業績拡大はもちろん、果たそうとする従業員エンゲージメント向上の実現に必ずや生かされるだろう。