【三つの変革でさらに進化】
国際航業の新社長に就任した藤原協氏は、「空間情報技術で人々の暮らしや地球環境に貢献する」という同社のDNAを受け継ぎつつ、事業をはじめとする「三つの変革」を掲げる。インフラ管理支援や脱炭素といった社会課題対応に注力するとともに、将来の社会変化も見据えて人材がより力を発揮しやすい柔軟な組織づくりにも取り組む。藤原社長に今後の事業運営などを聞いた。--就任の抱負は
「『空間情報で未来に引き継ぐ世界をつくる』という当社のミッションを大切にする一方で、時代の変化に対応するためにも、自らを進化させることが必要だ。空間情報に関するコア事業の価値を高め、民間分野で新たな収益の柱を育てる『事業』の変革、社員一人ひとりが力を発揮できる柔軟で迅速な体制をつくる『仕組み』の変革、データに基づく判断やコンプライアンス意識の徹底を含む『意識』の変革を浸透させたい」
--注力することは
「行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援、インフラの維持管理と防災分野の強化、エネルギー領域の事業展開の三つに力を入れていく。DX支援では、得意分野であるシステム開発と空間情報技術を融合させ、3D都市モデルの活用や住民からの情報とGIS(地理情報システム)を連携させた行政業務の効率化などを展開していきたい」
「維持管理では、ドライブレコーダーなどさまざまな手段で取得した情報にAI(人工知能)を組み合わせてインフラの状況を把握し、点検・補修の優先度判断まで一貫した支援を目指す。脱炭素を見据えたエネルギー領域では、ミライト・ワングループとの連携の下、計画から事業化・実装まで一貫して支援できる体制を強みに、公共建築を中心として面的に広がる持続可能なまちづくりの提案につなげる」
--組織運営について
「組織と役割を明確化し、意思決定のスピードと精度を高めたい。プロジェクトが大型化・複雑化する中、多様なパートナーと連携し、提案型の業務に対応できる柔軟な運営が求められている。責任の所在をはっきりさせ、事業領域ごとに担当役員と部長が判断を下しやすい体制にする」
--成長戦略をどう描く
「インフラ、防災、地理空間情報といった強みを生かしつつ、領域横断的なサービスの展開を目指す。短期的には、既存コア事業の生産性を持続的に向上させ、中期的に、DXや脱炭素といった社会課題に応じたコア周辺の事業群を拡大する。将来的には、まちづくり全体で、エネルギー管理や脱炭素化を見据えた新しい価値の創出を進める」
--技術者育成について
「技術者の成長には、成長段階に応じた多面的な支援が必要だ。若手にはメンター社員を付けて業務以外の面もサポートし、定期面談や第三者によるレビュー、オンライン教材や社内研修の充実を進める。ベテラン社員の知見を継承や世代間のギャップを埋める工夫も講じている」
「大事にしているのは、主体性を持って行動できる人材を育てることだ。ただし、専門的な技術力や提案力が前提になる職種だからこそ、人として信頼できることを最も重視している」
* *
(ふじわら・きょう)1999年3月北大大学院理学研究科修了後、同年4月国際航業入社。19年4月執行役員公共コンサルタント事業部長、22年5月専務執行役員、24年4月同事業統括本部長技術統括担当を経て、25年4月から現職。広島県出身。73年4月19日生まれ、52歳。
◆記者の目
企業のビジョンに納得して動いてもらうためには「社長が人として信頼できるかどうかが大切だ」と語り、自身の言葉で真剣に語り掛ける姿勢を示す。働き方改革による時間的制約に悩む社員に対しても共感しつつ、法令順守を前提とした上で「限られた時間で良質な経験を積めるように支援する」と力を込めた。穏やかな語り口の中に、組織を前に進めるための戦略と覚悟が感じられた。
国際航業の新社長に就任した藤原協氏は、「空間情報技術で人々の暮らしや地球環境に貢献する」という同社のDNAを受け継ぎつつ、事業をはじめとする「三つの変革」を掲げる。インフラ管理支援や脱炭素といった社会課題対応に注力するとともに、将来の社会変化も見据えて人材がより力を発揮しやすい柔軟な組織づくりにも取り組む。藤原社長に今後の事業運営などを聞いた。--就任の抱負は
「『空間情報で未来に引き継ぐ世界をつくる』という当社のミッションを大切にする一方で、時代の変化に対応するためにも、自らを進化させることが必要だ。空間情報に関するコア事業の価値を高め、民間分野で新たな収益の柱を育てる『事業』の変革、社員一人ひとりが力を発揮できる柔軟で迅速な体制をつくる『仕組み』の変革、データに基づく判断やコンプライアンス意識の徹底を含む『意識』の変革を浸透させたい」
--注力することは
「行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援、インフラの維持管理と防災分野の強化、エネルギー領域の事業展開の三つに力を入れていく。DX支援では、得意分野であるシステム開発と空間情報技術を融合させ、3D都市モデルの活用や住民からの情報とGIS(地理情報システム)を連携させた行政業務の効率化などを展開していきたい」
「維持管理では、ドライブレコーダーなどさまざまな手段で取得した情報にAI(人工知能)を組み合わせてインフラの状況を把握し、点検・補修の優先度判断まで一貫した支援を目指す。脱炭素を見据えたエネルギー領域では、ミライト・ワングループとの連携の下、計画から事業化・実装まで一貫して支援できる体制を強みに、公共建築を中心として面的に広がる持続可能なまちづくりの提案につなげる」
--組織運営について
「組織と役割を明確化し、意思決定のスピードと精度を高めたい。プロジェクトが大型化・複雑化する中、多様なパートナーと連携し、提案型の業務に対応できる柔軟な運営が求められている。責任の所在をはっきりさせ、事業領域ごとに担当役員と部長が判断を下しやすい体制にする」
--成長戦略をどう描く
「インフラ、防災、地理空間情報といった強みを生かしつつ、領域横断的なサービスの展開を目指す。短期的には、既存コア事業の生産性を持続的に向上させ、中期的に、DXや脱炭素といった社会課題に応じたコア周辺の事業群を拡大する。将来的には、まちづくり全体で、エネルギー管理や脱炭素化を見据えた新しい価値の創出を進める」
--技術者育成について
「技術者の成長には、成長段階に応じた多面的な支援が必要だ。若手にはメンター社員を付けて業務以外の面もサポートし、定期面談や第三者によるレビュー、オンライン教材や社内研修の充実を進める。ベテラン社員の知見を継承や世代間のギャップを埋める工夫も講じている」
「大事にしているのは、主体性を持って行動できる人材を育てることだ。ただし、専門的な技術力や提案力が前提になる職種だからこそ、人として信頼できることを最も重視している」
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(ふじわら・きょう)1999年3月北大大学院理学研究科修了後、同年4月国際航業入社。19年4月執行役員公共コンサルタント事業部長、22年5月専務執行役員、24年4月同事業統括本部長技術統括担当を経て、25年4月から現職。広島県出身。73年4月19日生まれ、52歳。
◆記者の目
企業のビジョンに納得して動いてもらうためには「社長が人として信頼できるかどうかが大切だ」と語り、自身の言葉で真剣に語り掛ける姿勢を示す。働き方改革による時間的制約に悩む社員に対しても共感しつつ、法令順守を前提とした上で「限られた時間で良質な経験を積めるように支援する」と力を込めた。穏やかな語り口の中に、組織を前に進めるための戦略と覚悟が感じられた。