【人材確保しながら挑戦】
日本リーテックの新社長に久保公人氏が25日付で就任した。「建設会社は人が唯一の財産」と言い切る。5月公表の中期経営計画で打ち出した2035年売上高1000億円の目標達成に向け、人材を確保・育成しながら、仕事を通じて充足感が得られ、失敗を恐れずに挑戦して成長する会社づくりを目指す久保社長に、経営方針を聞いた。--就任の抱負は
「需要が旺盛で、大変恵まれた環境にある。需要にしっかりと応えられる体力・体制を整える。財産がそれほど多くない建設会社にとって人が唯一の財産だ。グループ会社や協力会社を含め、社員が自らの目標を達成しながら、仕事を通じて充足感を得られる会社にしていきたい。旺盛な需要に応えられるだけの人をしっかりと確保・育成していくことが課題だ」
--人材確保・育成の方針は
「労働人口の減少に加え、24年問題で多くの超勤によって対応することができなくなってきた。四つあるセグメントのうち、最も活況なのは送電線設備で、売上高が2年間で約2倍に伸びたが、この部門は過去に苦しんだ時期があり、今の状態がずっと続くことはないだろう。事業環境の変化に柔軟に対応できるよう多能化を進めていく」
「社員のキャリア形成にこれまで十分に取り組めていなかったという反省がある。今後3年間で整えていきたい。人事制度も見直す必要がある。4月には夜間作業の手当を3000円から5000円に引き上げた。採用を増やすため、他社に見劣りしない処遇や人事制度にし、入社後のキャリアも描ける形に変えていきたい」
「グループ会社や協力会社と共同での採用活動も展開していく。協力会社は特に鉄道電気設備で高齢化が進んでいる。高齢化で立ち行かなくなった協力会社同士を一つにしたり、子会社のNR電車線テクノやNR信号システムで引き受けたりするなど、M&A(企業の合併・買収)を含め、グループ会社や協力会社と一緒になって人の問題に対応していく」
--事業展開の方針は
「4部門の需要に応えていくとともに、新たな芽を見つけて育てていく。例えば、屋内外電気設備部門は伸ばしていく必要があり、鉄塔建設の土木技術、送電線技術、鉄道電気設備の変電技術などを組み合わせて、データセンターの工事に進出できるのではないかと考えている。オフサイトPPA(電力購入契約)や系統用蓄電池なども勉強をしているところだ」
--DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略は
「現場、安全追求・技術力向上、バックオフィスの各DXを進める。10年後に労働人口はもっと減っているため、新たな技術を取り入れて省人化を図っていかなければならない。機械化による代替、生成AI(人工知能)での対応など、人数が増えなくても仕事を増やす方法に取り組む。失敗してもいいから挑戦する。その旗を振っていきたい」
* *
(くぼ・きみと)1989年3月慶大大学院理工学研究科修了後、同年4月JR東日本入社。2017年6月電気ネットワーク部担当部長、19年6月監査部長、21年6月執行役員盛岡支社長、24年6月日本リーテック常務サステナビリティ推進本部長を経て、25年6月から現職。東京都出身。64年5月22日生まれ、61歳。
◆記者の目
座右の銘は『不易流行』。いつまでも変わらないものの中に新しい変化を取り入れることを指す言葉だ。事業環境が様変わりしたコロナ禍を経て、この言葉を強く意識するようになったという。1年前に発注者であるJR東日本から受注者へ転じ、内部から見て感じた日本リーテックの特長を「お客さまの要望にしっかりと応えていく姿勢があり、柔軟性が高い」と率直に評価する。この部分を大事にしながら、成長に必要な挑戦をけん引する構えだ。
日本リーテックの新社長に久保公人氏が25日付で就任した。「建設会社は人が唯一の財産」と言い切る。5月公表の中期経営計画で打ち出した2035年売上高1000億円の目標達成に向け、人材を確保・育成しながら、仕事を通じて充足感が得られ、失敗を恐れずに挑戦して成長する会社づくりを目指す久保社長に、経営方針を聞いた。--就任の抱負は
「需要が旺盛で、大変恵まれた環境にある。需要にしっかりと応えられる体力・体制を整える。財産がそれほど多くない建設会社にとって人が唯一の財産だ。グループ会社や協力会社を含め、社員が自らの目標を達成しながら、仕事を通じて充足感を得られる会社にしていきたい。旺盛な需要に応えられるだけの人をしっかりと確保・育成していくことが課題だ」
--人材確保・育成の方針は
「労働人口の減少に加え、24年問題で多くの超勤によって対応することができなくなってきた。四つあるセグメントのうち、最も活況なのは送電線設備で、売上高が2年間で約2倍に伸びたが、この部門は過去に苦しんだ時期があり、今の状態がずっと続くことはないだろう。事業環境の変化に柔軟に対応できるよう多能化を進めていく」
「社員のキャリア形成にこれまで十分に取り組めていなかったという反省がある。今後3年間で整えていきたい。人事制度も見直す必要がある。4月には夜間作業の手当を3000円から5000円に引き上げた。採用を増やすため、他社に見劣りしない処遇や人事制度にし、入社後のキャリアも描ける形に変えていきたい」
「グループ会社や協力会社と共同での採用活動も展開していく。協力会社は特に鉄道電気設備で高齢化が進んでいる。高齢化で立ち行かなくなった協力会社同士を一つにしたり、子会社のNR電車線テクノやNR信号システムで引き受けたりするなど、M&A(企業の合併・買収)を含め、グループ会社や協力会社と一緒になって人の問題に対応していく」
--事業展開の方針は
「4部門の需要に応えていくとともに、新たな芽を見つけて育てていく。例えば、屋内外電気設備部門は伸ばしていく必要があり、鉄塔建設の土木技術、送電線技術、鉄道電気設備の変電技術などを組み合わせて、データセンターの工事に進出できるのではないかと考えている。オフサイトPPA(電力購入契約)や系統用蓄電池なども勉強をしているところだ」
--DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略は
「現場、安全追求・技術力向上、バックオフィスの各DXを進める。10年後に労働人口はもっと減っているため、新たな技術を取り入れて省人化を図っていかなければならない。機械化による代替、生成AI(人工知能)での対応など、人数が増えなくても仕事を増やす方法に取り組む。失敗してもいいから挑戦する。その旗を振っていきたい」
* *
(くぼ・きみと)1989年3月慶大大学院理工学研究科修了後、同年4月JR東日本入社。2017年6月電気ネットワーク部担当部長、19年6月監査部長、21年6月執行役員盛岡支社長、24年6月日本リーテック常務サステナビリティ推進本部長を経て、25年6月から現職。東京都出身。64年5月22日生まれ、61歳。
◆記者の目
座右の銘は『不易流行』。いつまでも変わらないものの中に新しい変化を取り入れることを指す言葉だ。事業環境が様変わりしたコロナ禍を経て、この言葉を強く意識するようになったという。1年前に発注者であるJR東日本から受注者へ転じ、内部から見て感じた日本リーテックの特長を「お客さまの要望にしっかりと応えていく姿勢があり、柔軟性が高い」と率直に評価する。この部分を大事にしながら、成長に必要な挑戦をけん引する構えだ。