建設業全体で改善傾向/資本コスト・株価を意識した経営に成果/日本総合研究所の主要建設企業ROE×PBR分析 | 建設通信新聞Digital

8月7日 木曜日

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建設業全体で改善傾向/資本コスト・株価を意識した経営に成果/日本総合研究所の主要建設企業ROE×PBR分析

売上高1,000億円以上のプライム・スタンダード市場の建設業のROE・PBR 各社有価証券報告書、日本取引所グループウェブサイト「東京証券取引所日報」(5月31日)、「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧」(5月)を基に日本総研が作成
 日本総合研究所は、売上高1000億円以上の東証プライム・スタンダード市場の建設請負を主要事業とする会社の株価(5月31日時点)と決算情報を基に、ROE(自己資本利益率)とPBR(株価純資産倍率)の分析結果をまとめた。同研究所の近藤大介シニアマネジャーによると、ROEとPBRには中程度の正の相関が見られ、ROEが高い会社ほど、PBRが高い傾向にある。高砂熱学工業は資本コストや株価を意識した経営を実践しており、ROE、PBRともに高位に位置している。
 建設業全体のPBRは直近1年では、0.2ポイント改善している。中でも、三機工業(1.1ポイントから1.8ポイント)、住友電設(1.2ポイントから1.8ポイント)、関電工(1.1ポイントから1.7ポイント)、清水建設(0.7ポイントから1.3ポイント)、ピーエス・コンストラクション(0.9ポイントから1.4ポイント)の5社はPBRが0.5ポイント以上改善している。
 三機工業と住友電設、関電工は業績好調、株主還元の強化、情報開示の充実、データセンター関連銘柄としての市場認知が要因にある。清水建設は株主還元の強化、政策保有株の売却前倒し、自己株式の取得・消却による資本効率の向上、情報開示の充実、ピーエス・コンストラクションは業績好調、株主還元水準の高さ、情報開示の充実が要因にある。
 建設業では資本コスト・株価を意識した経営の実現に向けて各社が取り組みを進めており、一定の成果が見られる。また、PBRの向上には、ROEの向上、株主還元の強化、資本コスト・株価を意識した経営の実現に向けた計画と実践、各種情報発信が有効であると考えられる。

 日本総合研究所シニアマネジャー 近藤 大介氏(こんどう・だいすけ)2009年京大大学院工学研究科建築学専攻前期博士課程修了。建設・不動産、鉄道会社を中心に組織・業務改革、M&A(企業の合併・買収)・アライアンス、事業戦略など幅広いテーマのコンサルティングを手掛ける。