労務費ダンピング調査で指針案/直接工事費×0.97に水準/国交省 | 建設通信新聞Digital

9月26日 金曜日

行政

労務費ダンピング調査で指針案/直接工事費×0.97に水準/国交省

従来のダンピング対策との比較
 国土交通省は、公共工事の落札候補者の入札金額の労務費が適正かどうかを確認する「労務費ダンピング調査」について、公共発注者向けのガイドライン案をまとめた。入札金額内訳書に記載の直接工事費が、官積算の直接工事費に0.97を乗じた水準を下回る場合、発注者は労務費が適正ではないと判断し、建設Gメンに通報する。発注段階のダンピング対策を強化し、労務費のしわ寄せを行う不良・不適格事業者の排除につなげる。 調査は、低入札価格調査制度や最低制限価格制度を補う仕組みとして新たに導入する。改正公共工事入札契約適正化促進法の12月の全面施行で公共工事の入札参加者に対する労務費や材料費などの内訳明示、発注者による内容確認を義務付けることから原則全ての工事で実施する。改正建設業法に基づき運用が始まる労務費の基準(標準労務費)の公共工事での実効性確保策にも位置付けられている。
 労務費の適正性を判断する水準は、直接工事費の官積算額に一定の係数を乗じて算出する。係数は中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルで直接工事費に乗じる0.97を基本としつつ、各発注者が設定できる。
 落札候補者の入札金額内訳書に記載された直接工事費がこの水準を下回る場合、発注者は対面か書面でその理由を確認する。合理的な回答がない場合も契約できるが、発注者は書面で注意喚起や警告をした上で建設Gメンに通報する。通報は端緒情報として扱い、建設Gメンによる調査実施の検討に役立てる。
 合理的ではない回答の例として、「下請けから徴収した見積書の内訳を確認せず転記している」「最新の公共工事設計労務単価を採用していない労務費の算出」などを挙げる。
 調査で対象とする労務費の範囲は設計労務単価の考え方にならい、基本給相当額、手当、臨時給与、実物給与とする。材料費、法定福利費の事業主負担額、建設業退職金共済制度の掛け金、安全衛生経費は確認しない。
 内訳書には、積み上げ可能な方式で積算した労務費、主要な材料費の記載を必須とする。市場単価方式や標準単価方式で積算した労務費、雑材料や建機の燃料費などは任意とする。
 ガイドライン案に対する一般の意見を10月25日まで受け付ける。