標準労務費 初弾は14職種公表/レベル別年収 新たに設定 | 建設通信新聞Digital

12月16日 火曜日

行政

標準労務費 初弾は14職種公表/レベル別年収 新たに設定

公表する14職種と調整中の11職種
 改正建設業法に基づく労務費の基準(標準労務費)について、施行予定日の12月12日までに14職種の基準値を公表することが固まった。27日に開かれた中央建設業審議会のワーキンググループ(WG)で、国交省は前回示した6職種のほか、新たに8職種の基準値案を提示。初弾の14職種は基準値の公表に合わせて「目標値」と「標準値」を設定した新たな建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収を公表し、賃金支払いの実効性確保につなげる。 施行予定日までに基準値を公表するのは、▽型枠▽鉄筋▽住宅分野▽左官▽電工▽とび▽空調衛生▽土工▽鉄骨▽潜かん▽切断穿孔(せんこう)▽橋梁▽警備▽造園--の14職種となる。
 中建審の勧告対象は標準労務費の基本的な考え方などを整理した文書のみで、職種別の適正な労務費を示す具体的な数値は基準値として国交省が公表する。基準値の公表に当たっては、案をWGに報告して意見を求める必要があるが、施行予定日前のWGは今回が最後のため、初弾は14職種となることが決まった。
 このうち、戸建て住宅分野は直轄での発注実績がなく公的な歩掛かりがないため、基準値作成に向けた調査を7-10月に実施。木造2階建て延べ100㎡程度をベースに、解体、基礎、建て方、内装など12工程で標準的な歩掛かりを設定し、基準値案をまとめた。
 初弾の14職種は基準値の公表とともに、新たなCCUSレベル別年収を公表する。従来はレベルごとに下位、中位、上位の3段階で設定していたが、公共工事設計労務単価水準で賃金が支払われた場合の「目標値」と、最低限支払うべき賃金水準の「標準値」の二つの水準に改める。
 改正法の全面施行で適正な賃金支払いなどの処遇確保が建設業者の努力義務となることから、適正な賃金として目標値の支払いを推奨するとともに、支払いが標準値を下回る事業者は労務費のダンピングの恐れがないかを重点的に確認する。
 基準値作成に向けた職種別意見交換は、これまでに25職種で実施。残る11職種も基準値案の検討が進んでおり、建設業の許可区分に照らすと全29業種のうち18業種で基準値を作成あるいは検討している。ただ、基準値の有無に関わらずあらゆる職種で必要な労務費は確保されなければならず、国交省は適正な労務費の支払いを呼び掛ける。