適正賃金の「目標値」設定/CCUSレベル別年収改定案/国交省 | 建設通信新聞Digital

12月5日 金曜日

行政

適正賃金の「目標値」設定/CCUSレベル別年収改定案/国交省

CCUSレベル別年収(ブロック別、 全分野)の標準値と目標値     
 国土交通省は、建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル別年収の改定案をまとめた。適正な賃金として支払いを促す「目標値」と、支払われるべき閾(しきい)値に当たる「標準値」の二つの水準に見直し、全国9ブロックごとに算出した。中央建設業審議会が2日に勧告した労務費の基準(標準労務費)により、技能者の適正賃金としてレベル別年収が支払われる建設産業を目指す。 =関連2面 4日に開いた「建設キャリアアップシステム処遇改善推進協議会」で示した。レベル別年収の改定は2023年6月の公表以来初めて。改正建設業法の全面施行に合わせて改定版を公表する。
 レベル別年収は、公共工事設計労務単価が技能者の経験・技能に応じた賃金として支払われた場合に想定される年収として設定。標準労務費をベースとした適正な労務費が確保される商習慣を浸透させ、技能者にレベル別年収に応じた賃金が支払われる環境をつくる。
 ベースとなる技能者の賃金実態は、24年10月の公共事業労務費調査で把握した最新の結果を反映した。能力評価を受けていないサンプルは経験年数と資格を基にレベルを推定。5年未満はレベル1相当、5年以上10年未満はレベル2相当、10年以上または1級技能士はレベル3相当、登録基幹技能者はレベル4相当と見なして試算した。
 これまでレベルごとに「下位」「中位」「上位」で設定していた年収を、下位15%程度の賃金水準に当たる「標準値」(従来の下位)、平均以上の賃金水準となる「目標値」(従来の中位)の二つの水準に見直した。各事業者には適正賃金として目標値以上の支払いを促し、標準値を下回る支払いの事業者には労務費ダンピングの恐れがないかを重点的に確認する。今後構築する処遇の不満を通報する技能者向けシステムを利用する際の参考にもしてもらう。
 全国一律の設定を改め、▽北海道▽東北▽関東▽北陸▽中部▽近畿▽中国▽四国▽九州・沖縄--の9ブロックごとに算出した。設計労務単価やそれを基に算出する職種別の労務費の基準値が都道府県別に設定されていることを踏まえ、標準労務費で適正な賃金支払いの水準に位置付けるレベル別年収を全国一律に算出するのはそぐわないと判断。ただ同一都道府県内にとどまらずに仕事をする会社や技能者も少なくないことから、都道府県単位ではなくブロック単位とした。
 能力評価分野別では、前回の公表以降に認定された11分野を追加し、計43分野となった。