都道府県・政令市の発注業務遂行/「職員のみでは困難」7割/国交省 | 建設通信新聞Digital

7月18日 金曜日

行政

都道府県・政令市の発注業務遂行/「職員のみでは困難」7割/国交省

発注関係事務に必要な職員体制についての現状認識
【委託先の受託量に制約】
 国土交通省の調査によると、都道府県と政令市の約7割で職員のみでは発注関係事務の業務遂行が難しいと感じていることが分かった。特に設計・積算、監督・検査でその傾向が強い。公益法人などに業務を委託している団体も多いが、受託量が限られ、業務を十分に補えていないといった課題も浮かび上がっている。 2025年度上期ブロック監理課長等会議の開催に先立ち、都道府県と政令市計67団体にアンケートを実施し、発注関係事務の現状や課題を聞いた。
 発注関係事務の体制については、「職員のみではやや困難で一部を委託している」が43団体と最も多い。「職員のみでは困難で可能な限り委託している」の3団体、「既に支障を来しているが委託していない」の2団体も含めると、約7割に当たる48団体で職員のみの業務遂行に課題を抱えている。特に設計・積算、監督・検査で職員のみの対応に難しさを感じており、外部に委託している団体が多い。
 具体の課題を聞くと、入札不調案件の増加で可視化しづらい業務が増えているという意見があった。中堅・若手職員が不足し、設計・積算業務に課題を感じている団体もいた。
 発注関係事務の委託先を見ると、「建設コンサルタントなど」「公益法人など」がともに50団体だった(複数回答あり)。このうち公益法人などのみに委託しているのは11団体だった。
 公益法人などに委託している団体からは、委託先の受託量に制約があり、十分な規模を補完できていないとする課題が挙がった。外部委託で熟練した職員が育成しにくくなっているといった意見もあった。一方で、こうした課題を踏まえて設計成果から積算にシステムを導入して省力化を図っている事例も確認された。
 職員確保の観点では、通年採用を導入したり、役職定年職員向けのポストを創設している団体があった。技術力の確保に向けて、技術職員の育成方針を作成している団体もいた。
 発注関係事務の共同化に関する取り組み状況も調べた。積算や競争参加資格申請などのシステムを共同活用しているのは20団体、広域連携などに取り組むのは8団体だった。広域連携などは、費用負担や責任の所在などが課題となっており、実例は少数にとどまっていた。