5000㎡以上ビルに義務化/LCCO2の算定・届出/国交省 | 建設通信新聞Digital

9月9日 火曜日

行政

5000㎡以上ビルに義務化/LCCO2の算定・届出/国交省

 国土交通省は、建築物のライフサイクルカーボン(LCCO2)削減に向けて、早期に実施する施策の骨子案をまとめた。建物を新築・増改築する際のLCCO2の算定届け出義務は、延べ5000㎡以上の大規模オフィスビルを対象とすることを提案した。建築主への説明義務は、同2000㎡以上の大規模非住宅建築物の場合に実施する方針を示した。このほか、LCCO2の第三者評価・表示制度や、建材・設備製造事業者に対する建材・設備等CO2等排出量データ作成・表示の努力義務なども取り組むよう求めた。 「建築物ライフサイクルアセスメント(LCA)の制度化に関する検討会」の中間取りまとめ骨子案として作成し、8日の第5回会合で提示した。30日の次回会合で再度意見を交わした後、社会資本整備審議会建築環境部会での審議やパブリックコメントなどを経て、2026年1月から2月にかけて成案化する。
 骨子案では、28年度からの制度開始に合わせて取り組む内容を第1ステップと位置付けた。LCCO2の算定・評価、自主的削減が一般的に行われるよう環境整備を整えるため、統一的なルールを定めるとともに、緩やかな規制的措置と誘導的措置を一体的に講じ、算定を促す。
 国が建設する庁舎では、制度開始前から先行的に算定を実施するとともに、一定以上の規模の建築物を対象にした算定の原則化を検討していく方針を示した。地方自治体の先行事例の共有も進める。
 算定・評価結果の表示制度については、評価書などの記載事項としてアップフロントカーボンの削減量、炭素貯蔵量、EPD(製品環境宣言)や第三者検証ありのカーボンフットプリントデータの活用状況、GX(グリーントランスフォーメーション)価値を表示した建材・設備の採用状況などをイメージしている。
 建材・設備等CO2等排出量データに関しては、建材・設備製造事業者にCO2等排出量原単位を作成するよう促す。特に算定に大きな影響を与える主要建材などは27年度までに優先的に原単位を整備するよう求めた。鉄骨、鉄筋、コンクリート、木材などの躯体建材、アルミサッシ、ガラス、OAフロアなどの外装・内装建材を例に挙げている。
 8日の会合では、50年のカーボンニュートラル実現に向けた全体のロードマップ案も示した。第2ステップの期間は30-40年代と設定。取り組みをより一般化させるため、LCCO2届け出義務の対象拡充やLCCO2削減策の措置などを予定する。