技術者兼任特例/4分の1が活用/全建会員調査 1人の負担増懸念も | 建設通信新聞Digital

9月10日 水曜日

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技術者兼任特例/4分の1が活用/全建会員調査 1人の負担増懸念も

 昨年12月の改正建設業法の第2弾施行で新設された監理・主任技術者の現場兼任特例について、全国建設業協会(今井雅則会長)が、47都道府県建設業協会の会員企業の制度活用状況を調べたところ、全体の約4分の1が「現場を兼務させたことがある」と答えた。地域建設業の人手不足などを背景に兼任特例を歓迎する声が上がる一方、複数現場を掛け持ちすることになる技術者1人当たりの負担増加を懸念する意見も寄せられている。 改正業法の技術者専任特例では、「現場技術者(主任技術者または監理技術者)の現場兼任」「営業所技術者等による現場技術者の兼任」の二つを創設した。現場兼任が可能な工事の請負金額は1億円(建築一式工事2億円)未満で、連絡員の配置や情報通信技術を利用した施工体制の確認措置、人員配置計画書の作成などが要件となっている。
 全建が会員1891社の回答を集計してまとめた「2025年度発注関係事務の運用状況等に関するアンケート報告書」によると、「監理・主任技術者に現場を兼務させたことがある」との回答割合は全体の24.8%を占めた。これに比べて、「営業所技術者に監理・主任技術者を兼務させたことがある」は7.9%と少なかった。
 自由意見を見ると、「緩和を本当に歓迎する」「人手不足の現在、さらなる緩和を求める」といった肯定的な意見がある一方、否定的な見方も少なくない。会員企業からは、「技術者の負担と労務が増している。兼務は実質的な賃下げと同じだ」「現場技術者が仕事量の増加を嫌い、複数の現場を持ちたがらない」「労働時間の規制も厳しくなった中での兼務は困難」「今から兼務をさせようとすると技術者から不満が出る」などの声が寄せられた。
 否定的意見の理由は、技術者の負担増加にとどまらず、「特定の企業に受注機会が広がっている」「少人数の会社でも多くの工事が受注できるようになり、雇用を維持している会社が不利になる」「高い評価点を持つ技術者を抱える企業が、兼務により地域の工事を独占する状況が生じている」など、競争環境にも影響が及んでいる。
 このほか、「隣接する工事は、複数の小規模工事として分割発注するのではなく、一括で発注すれば技術者の兼務も不要になる」「金額要件について、契約変更で専任が必要になる場合に備えて専任にせざるを得ない」といった意見も出ている。