【地域と共に成長していく/暮らしと建築が溶け合い日常に/梓設計 有吉匡(ありよし・きょう)社長】
企業にとって「社会に対する責任」が重要性を増す中、建物の整備に際して地域や環境との“共生”は、なくてはならない考え方になってきている。こうした状況下で、梓設計の有吉匡社長は「建築が地域と共に“成長していく”ことで、企業もまちも持続する」と自らに言い聞かせるように語る。同時に、日々、人・まち・環境とのつながり方を深く考え、建築に向き合っている設計者のアイデアには、「社会を変える力がある」と強調する。
「地域と共生する建築」で重要なキーワードが“日常性”だ。同社が得意とするスポーツ施設を見ると、例えば企画段階から関わった「今治里山スタジアム」は、試合がない日でも地域住民が散歩に訪れるほど、生活の一部として溶け込んでいる。365日のにぎわいを目指した人々の居場所づくりが、地域ボランティアの創生にもつながり、まちの新たな活性を生み出しており、その考え方は多くのスポーツ施設に広がっている。
スタジアムのような非日常の場に人々の「暮らし」が溶け合う。これまでになかったこの在り方は「さまざまな分野の施設に当てはまる」と言い、空港や病院をはじめとした平時に訪れることの少ない施設でも「地域コミュニティーなど活力の場になり得る」とみる。モビリティーやデジタル技術の発達もそれを後押ししているという。
続けて、「非日常と思われている施設を誰もが気軽に訪れて楽しめる、安らげるような場にしていくことで、生活する一人ひとりの活力や幸福度向上につながっていくはずだ。お互い支え合える施設となることで、まちの持続性にも寄与していく」と思いを込める。
施設完成を起点に価値が高まっていく、そこに建築が持つ可能性があり、設計者一人ひとりのアイデアや工夫が生きる瞬間でもある。その機会を増やすため、建設前の運営企画段階から取り組む意欲を示す。さらに、維持管理や改修などを通じ、「建物の継続的な価値向上にも寄与したい」と意気込む。
アリーナ施設の運営で成功しているフランスのパリ・エンターテインメント・カンパニーと企画や運営のノウハウを共有していくための覚書(MOU)を交わすなど、同社が施設の活用にこだわるのもこの可能性を信じるためで、「将来にわたって施設がどう変化していけるかを考え、建築としての価値を継続的に高めることは、地域の価値向上にも貢献する」と強調する。
取り巻く環境が多様化・複雑化する中で、価値が高まり続ける建築を考案し、つくり上げるためにはこれまで以上の手間がかかるのは想像に難くないが、設計報酬に結び付いていない現状もある。だからこそ発注者に対して「いかに設計によってプラスアルファの価値が生まれているか理解してもらえるよう、努力を続けたい」と意欲を示すとともに、さらに期待以上の価値を生むべく気を引き締める。
【業績メモ】
今期も引き続き、売り上げ、受注高ともに堅調で、特にスポーツやホテル、データセンターが好調だ。一方、建設費の高騰を背景に、プロジェクト延期などの事例が発生しているため、「特定分野に偏らず、バランス良く受注をしている」という。梓総合研究所が昨年リリースしたBIMをベースにした施設運営ソリューション「AIR-Plate」も順調に導入事例が増えており、今後は「使ってもらう中でカスタマイズ、進化することが大切だ」と見通す。
企業にとって「社会に対する責任」が重要性を増す中、建物の整備に際して地域や環境との“共生”は、なくてはならない考え方になってきている。こうした状況下で、梓設計の有吉匡社長は「建築が地域と共に“成長していく”ことで、企業もまちも持続する」と自らに言い聞かせるように語る。同時に、日々、人・まち・環境とのつながり方を深く考え、建築に向き合っている設計者のアイデアには、「社会を変える力がある」と強調する。
「地域と共生する建築」で重要なキーワードが“日常性”だ。同社が得意とするスポーツ施設を見ると、例えば企画段階から関わった「今治里山スタジアム」は、試合がない日でも地域住民が散歩に訪れるほど、生活の一部として溶け込んでいる。365日のにぎわいを目指した人々の居場所づくりが、地域ボランティアの創生にもつながり、まちの新たな活性を生み出しており、その考え方は多くのスポーツ施設に広がっている。
スタジアムのような非日常の場に人々の「暮らし」が溶け合う。これまでになかったこの在り方は「さまざまな分野の施設に当てはまる」と言い、空港や病院をはじめとした平時に訪れることの少ない施設でも「地域コミュニティーなど活力の場になり得る」とみる。モビリティーやデジタル技術の発達もそれを後押ししているという。
続けて、「非日常と思われている施設を誰もが気軽に訪れて楽しめる、安らげるような場にしていくことで、生活する一人ひとりの活力や幸福度向上につながっていくはずだ。お互い支え合える施設となることで、まちの持続性にも寄与していく」と思いを込める。
施設完成を起点に価値が高まっていく、そこに建築が持つ可能性があり、設計者一人ひとりのアイデアや工夫が生きる瞬間でもある。その機会を増やすため、建設前の運営企画段階から取り組む意欲を示す。さらに、維持管理や改修などを通じ、「建物の継続的な価値向上にも寄与したい」と意気込む。
アリーナ施設の運営で成功しているフランスのパリ・エンターテインメント・カンパニーと企画や運営のノウハウを共有していくための覚書(MOU)を交わすなど、同社が施設の活用にこだわるのもこの可能性を信じるためで、「将来にわたって施設がどう変化していけるかを考え、建築としての価値を継続的に高めることは、地域の価値向上にも貢献する」と強調する。
取り巻く環境が多様化・複雑化する中で、価値が高まり続ける建築を考案し、つくり上げるためにはこれまで以上の手間がかかるのは想像に難くないが、設計報酬に結び付いていない現状もある。だからこそ発注者に対して「いかに設計によってプラスアルファの価値が生まれているか理解してもらえるよう、努力を続けたい」と意欲を示すとともに、さらに期待以上の価値を生むべく気を引き締める。
【業績メモ】
今期も引き続き、売り上げ、受注高ともに堅調で、特にスポーツやホテル、データセンターが好調だ。一方、建設費の高騰を背景に、プロジェクト延期などの事例が発生しているため、「特定分野に偏らず、バランス良く受注をしている」という。梓総合研究所が昨年リリースしたBIMをベースにした施設運営ソリューション「AIR-Plate」も順調に導入事例が増えており、今後は「使ってもらう中でカスタマイズ、進化することが大切だ」と見通す。